2012年3月14日水曜日

<シャープ>脱液晶依存がカギ…奥田新社長

液晶では大成功をおさめたけど、市場が飽和してしまったときのことを考えていなかった、ってことなんですかね?先を読んでいくのは難しいやね。




 シャープがトップ交代に踏み切ったのは、12年3月期に過去最悪の2900億円の連結最終赤字に転落する見通しになり、片山幹雄社長の責任を問う声が内外で強まったことが背景にあるとみられる。ソニー、パナソニックに続く、業績不振の家電大手でのトップ交代で、奥田隆司新社長には、新たな成長の柱を育て、同社を抜本的に立て直すという難題が突きつけられる。

 シャープの液晶テレビやパネルに依存する事業構造は、「一本足」経営と呼ばれてきた。98年に就任した町田勝彦社長(現会長)が液晶テレビ事業の拡大を推進し、国内液晶テレビ市場首位まで引き上げ、「液晶のシャープ」を印象付けた。町田氏は、AV事業の本部長として液晶テレビの品質向上に貢献した片山氏を最年少取締役から抜てき。ちょうど世界最新鋭の堺工場(堺市)建設を決断した時期で、町田氏が「堺工場を一から計画し、成長軌道に乗せてほしい」と片山氏にかじ取りを託した。

 この事業構造は、市況が順調な時は急ピッチの右肩上がりで成長するが、市場環境が悪化すれば、一気に業績が悪化するリスクがあった。このため、片山氏は社長就任当初から、この「一本足」経営からの脱却が至上命令となり、新たな収益の柱として太陽電池事業を育てようとしてきた。だが、その太陽電池の市況悪化を受けて、懸念していた通り、業績は急激に悪化した。

 堺工場の投資総額は約4300億円。片山氏は14日の記者会見で、「08年ごろまでは液晶テレビの拡大が、売り上げや利益の両面で貢献したが、結果的には(堺工場の投資が)財務を痛める結果になった」と大型投資が裏目に出たことを認めた。片山氏は新体制では「(奥田氏は)社内を担当、私は外部を担当する」と強調し、引責辞任との見方を退けたが、新社長が58歳で、54歳の自身が代表権のない会長に就くという異例の内容から見ても、今回のトップ人事は多分に引責の意味が含まれている。

 奥田新社長が取り組むのは、液晶パネルや太陽電池に代わる新しい柱を作り上げることだ。当面は白物家電、業務系(ビジネスソリューション)とともに四つの柱の立て直しを進める構えだが、新たな成長の柱はまだ見えない。新体制は「一本足」経営で生じた負の遺産を背負いながらの厳しい船出となる。

 ◇「現場主義」徹底目指す…奥田隆司・新社長

 「現場にはいっぱい宝が落ちている。どう利益に結びつけるかは現場に行かないとわからない」。海外事業担当として何度も訪ねたインドでは、商品宣伝に口コミが一番効果的なことや、クレジットカードでの支払い環境を整えることなど、現場から商機につながるヒントを見つけた。座右の銘である「現場主義」を、トップとして全社に徹底させるつもりだ。

 03~06年は液晶テレビ「アクオス」の生産・開発を担当するAVシステム事業の本部長として、液晶テレビ事業を育てた。その後、海外事業担当としてブラジルの販社設立やインドの事業改革を実行した。それゆえ、液晶事業が赤字に陥り、事業改革が必要になったこの難局で、トップを任された。

 記者会見の冒頭、「非常に誠実」(片山幹雄社長)な人柄を示すように約4分半、起立。「シャープはオンリーワン商品を作る遺伝子を持っている。新しい市場を創造する商品を次々と出していきたい」と意気込みを語った。

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