2011年10月15日土曜日

収益性の高い缶コーヒーで勝負

収益性が高いってことは、消費者からしたら値段に見合った価値を、他に見出してるってことだよね。


 清涼飲料メーカー、秋の風物詩である缶コーヒー商戦。この時期には各社、缶コーヒーに関する新商品の登場や人気定番商品の積極的な広告展開を毎年行っている。また、缶コーヒーは他の商品と比べて収益性が高いことから、各社年間を通して、力を入れている商材でもある。

日本の缶コーヒー市場は活況で、年間100億本以上が消費されていると言われている。お酒やタバコと同じようにコーヒーは嗜好品であることから、個々に好きな風味や味が存在しており、永続的に好まれる。特に男性消費者は嗜好があまり「ブレない」ため、一度、愛飲するようになると、同じ缶コーヒーを求めるようになると言われている。消費を抑える中でも「この一杯は飲まずにはいられない」という気持ちにさせるのが嗜好品の強みである。

このような要素を踏まえ、缶コーヒーは各メーカーの看板ブランド的、または主力商品として位置していることが多い。そもそも1969年、上島珈琲が世界で初めて缶コーヒー「UCCコーヒーオリジナル」を発売したのがはじまりで、1970年の万国博覧会の会場内で発売されたことで大きく認知され、缶コーヒー市場というカテゴリーが確立された。その後、1972年にポッカーコーポレーションが「ポッカーコーヒー」を、1975年には日本コカ・コーラーが「ジョージア」を、ダイドードリンコ <2590> が「ダイドーブレンドコーヒー」を、1992年にはサントリーが「BOSS」を発売するなど、清涼飲料メーカーが次々にヒット商品を出してきた。そして今なお、当時の味や風味、パッケージを継承しつつ時代に合った新たなニーズを加味し発売を続けている。

清涼飲料メーカーのなかでも、特に缶コーヒーを強みとしているダイドードリンコは、同社飲料商品売上の50%以上をコーヒー飲料で占めている。他社が缶コーヒーの売上比率平均20から30%前後であることを考えると、この比率は圧倒的に多い。また、こうした収益性の高い缶コーヒーが主力であることに加え、さらにファブレス形態をとり、企画・開発や地域に密着した自販機網の拡充に資金やマンパワーを集中させたことで、同業他社にはない商品や自動販売機を次々に開発するとともに、質の高い自販機オペレーション体制を構築。売上の約90%以上が自動販売機であるという地域に密着した独自性のあるビジネスモデルも加わり、長引く不況や3月11日の大震災の中にあって飲料業界各社が苦戦を強いられているなか、強固な財務体質を維持している。

また9月にリニューアルした「デミタスコーヒー」シリーズは、新CMキャラクターには女優の篠原涼子さんを起用。缶コーヒーのヘビーユーザー層を中心に広く認知され、多くのファンを持つブランドで、市場でのより強固なポジションの確立と、新たなユーザーの獲得を図っている。消費低迷が続く中でも、ダイドードリンコのように嗜好品が主力商品であることは、不況に強く経営に安定感が生まれる大きな要素になると考えられる。

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