2011年10月29日土曜日

来週の相場見通し 日経平均は9000円±200円のレンジ相場

このレンジでおさまるかなあ。欧州で今後、悪材料がでないといいですね。


 来週の日経平均は9000円±200円のレンジ相場を想定している。NYダウが短期的に過熱しているため、目先騰勢が一服すると予想することが、日経平均の主たる調整要因だ。ただし、週末28日の日経平均は9月1日以来、約2カ月ぶりに終値で9000円大台を回復した。ユーロ圏17カ国首脳会議が債務問題に関する「包括戦略」で合意したことで、世界的に、株式などリスク資産への買い安心感が広がった結果だ。この効果は来週も発揮され、押し目では、売り方の買い戻しが入り、これが日経平均の下値をサポートするだろう。

 なお、NYダウに比べ日経平均の出遅れが顕著だが、これは、対ドルでの円高に歯止めが掛からないことが主因。よって、円高が是正されない限り、日経平均はNYダウに対して出遅れ続ける公算が大きい。

 一方、円の対ドル相場が連日で最高値を更新したにもかかわらず、少なくとも日本株は、27日、28日は買いの勢いが勝った。つまり、足元の動きだけをみると、日経平均と対ドルの円相場との相関係数は低下している感が強い。言い換えれば、円高に日本株が鈍感になっている。このため、現在の水準から大きく円高・ドル安に振れない限り、日本株に関しては、上値抑制要因ではあるものの、円相場に対してそれほど神経質になる必要はないことも事実だ。

 ところで、11年7-9月期の米実質GDPは前期比年率換算で2.5%増だった。個人消費や設備投資が伸び、成長率は昨年7-9月期の2.5%増以来の高い伸びとなった。しかし、米連邦準備理事会(FRB)は、景気下振れリスクが高まればQE3(量的緩和第3弾)に動く構えを強めている。それでも、11月1-2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ここ最近のマクロ指標が大幅な経済の減速の示唆していないため、追加の金融緩和策(QE3)の発動はないとみている。

 しかし、QE3を発動しなくとも、将来の発動を示唆するようなら、ドルは売られ、米株は上昇する見通し。日経平均も円高が進行する中、NYダウに連れ高することだろう。

 一方、来週は重要な指標発表やイベントが目白押しだ。これまでは、11月3-4日にカンヌで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議が最大のイベントだったが、既にEU首脳が「包括戦略」で合意したことで、市場の注目度は落ちた。

 それでも、3日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会後のドラギ次期ECB総裁の記者会見は一応注目されよう。だが、その記者会見を受けて、世界の金融市場が動揺することはなさそう。なぜなら、EU首脳が「包括戦略」で合意した状況で、ECB総裁が、市場にネガティブな発言をする可能性は低いとみるからだ。

 EU首脳が「包括戦略」で合意したため、市場の関心は、欧州債務・金融システム問題より米国景気の方の比重が大きくなったと考える。その意味では、11月1日の10月のISM製造業景況指数、4日の10月米雇用統計への関心が一段と高まる見通しだ。これらの指標が下振れするようだと、QE3実施リスクが高まり、ドル安基調が強まる公算が大きい。逆に、上振れするようだと、当面のQE3実施期待が後退するが、もともと過度なQE3期待もなかったため、このケースは市場にニュートラルだろう。

 来週の日経平均に関しては、テクニカル的に、下値は5日移動平均線(28日現在、8866.35円)がサポートするとみている。一方、上値は9月1日高値9098.15円、26週移動平均線(同、9280.60円)などを想定している。だが、200日移動平均線(同、9600.91円)を大幅に下回る日経平均は過熱感なくとも、200日移動平均線(27日現在、11970.60ドル)を上回ってきたNYダウの短期的な過熱感は否めない。このため、来週はNYダウが調整する可能性が高いとみている。

 物色に関しては、リターン・リバーサルと出遅れ修正が基本になるだろう。8月以来の下落率の高い銘柄群がその中心となる見通しだ。

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