2011年8月14日日曜日

地デジ化余波でテレビ塔収入激減 名古屋など存続危機

そうかー、こういったところにも影響が出てしまうんですね。


 テレビの地上デジタル放送への移行に伴い、アナログ電波を送り続けてきたテレビ塔の再活用問題が浮上している。国内初のテレビ塔の名古屋テレビ塔(名古屋市中区)は、事業の柱だった放送関連収入が減少し存続が危ぶまれる状態だ。こうした状況から、通天閣(大阪市浪速区)など全国20のタワー事業者で構成する「全日本タワー協議会」は、観光事業の強化に乗り出すなど、新たな収益策の確立を急いでいる。

運営会社「名古屋テレビ塔」の若山宏常務は「今年度は黒字を維持できそうだが、来年度以降は厳しい」と打ち明ける。アナログ停波に伴い、テレビ局が支払っていた年間約8千万円の放送機器やアンテナの設置料が無くなるためだ。設置料はテレビ塔会社の売上高の3割にあたり、赤字が続けば数年で資産を食いつぶす可能性もあるという。

名古屋テレビ塔は「アナログ後」の活性化策としてリニューアル計画を策定。放送関連機器が設置されていた部分を飲食や物販などのテナントに改修し、現在30万人弱の入場者を50万人に引き上げる。減収分を「入場料でカバーする」(同社)考えだ。

ただ、改修費(35億円)を全額自前で調達するのは難しいとして、耐震補修費など15億円分の負担を株主の名古屋市に求めている。これに対し市側は「税金投入には市民の理解が必要」(文化観光部)としており実現のハードルは高い。

同様に電波塔の役割を果たす東京タワー(東京都港区)も、地デジ送信機能は、完成後の東京スカイツリー(同墨田区)に移管される予定だ。放送事業者からの収入は、不動産収入の8割程度に上り、運営会社の日本電波塔は「新規事業や観光事業の強化策を検討している」と話す。

テレビ局頼みの事業構造からの脱却に向け、電波塔や他のタワー事業者は、観光事業のてこ入れを急ぐ。

名古屋テレビ塔の入場者は最盛期の3分の1以下に落ち込んでいる。同様にラジオ放送の送信に特化するさっぽろテレビ塔(札幌市)も、22年度の入場者数は約34万人と、3年間で10万人も減り、収支も赤字が続く。さっぽろテレビ塔の運営会社は「東京など大都市は別格だが、地方のタワーは厳しい」という。

一方、通天閣は電波塔と異なり、受信したテレビ電波をケーブルで難視聴世帯に送信していたが、7月末で終了。展望事業も23年3月期は団体客や割引切符により入場者数は横ばいだが、収入は前年を1%割り込んだ。

こうした中で全日本タワー協議会は、観光事業強化を目的に、各タワーの担当者らで組織する実務者会議を設置。20タワーめぐりのスタンプラリーを始めるなど、事業者間の連携を強めている。

同協議会は9月に名古屋で会議を開き、外国人観光客の誘致に向けた施策を話し合う方針。事務局は「新たな施策を考え、タワー観光を盛り上げたい」と話している。

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