2011年8月8日月曜日

リーマン以上の衝撃危惧 G7緊急声明へ介入示唆

財政がからむ問題だから、簡単には解決しないですよね・・・


 日米欧が為替市場への協調介入も視野に入れる形で結束姿勢を示したのは、欧米の財政不安に伴う金融市場の混乱を食い止めなければ、2008(平成20)年秋のリーマン・ショック以上の金融危機を招きかねないという強い危機感があるためだ。基軸通貨ドルの信任が揺らいで米国債の価格が暴落する事態を避けたい米国と、円やユーロの急騰を避けたい日欧当局の思惑はドル防衛で一致する。しかし、事実上崩壊した先進国の「信用」を回復させて金融を安定化させる具体的な手立ては乏しいままだ。

 「G7の連帯・協調をしっかり市場に理解してほしい」。G7の共同声明を受けて、野田佳彦財務相は8日午後の衆院予算員会でこう訴えかけた。

 5日の米国債の格下げを受けて日米欧の通貨当局は対応に躍起となった。G7に先立つ形で欧州中央銀行(ECB)は7日、信用不安から国債価格が急落しているイタリア、スペインの迅速な財政再建を条件に両国債を買い支えることを決定。トリシェ総裁は「イタリアとスペインが財政赤字を削減するための断固たる措置を講じることが不可欠だ」との声明を発表した。

 日米欧が危機感を強める背景には、欧米の財政不安が金融市場の波乱に直結する恐れが大きくなっている事情がある。欧米主要国の国債は世界の金融機関にとって信用力の高い運用先となってきたが、ギリシャに端を発した国債の「格下げドミノ」は、最上位の格付けを誇った米国の格下げに及んだ。欧州の財政不安はG7の一角を占めるイタリアにも波及している。

 このままでは、国債を大量に保有する金融機関の経営に対する疑心暗鬼も広がりかねず、「リーマン以上の金融市場の機能不全が現実味を増す」(信州大の真壁昭夫教授)という懸念も指摘されている。

 G7声明は、為替政策について協調介入も視野に入る「適切な協力」に踏み込んだ。これは、4日に日本単独での円売りドル買い介入を実施したものの、効果が限定的とされてきた日本にとって大きな意味を持つが、ドル防衛に向けた思惑は米欧にも共通する。

 実際、米国債の格下げはドル離れに拍車をかける可能性がある。個人消費の低迷で経済の先行き不安が拡大している米国にとってドル安は、輸出を後押しするという意味では有利に働くものの、ドルの信用失墜で米国債や株式などドル建て資産から投機資金が一斉に逃げ出せば、実体経済も深刻な打撃を受ける。景気減速の懸念が強い欧州もユーロ高は輸出を拡大するうえで不利となる。

 もっとも、今回の政策協調がどこまで効果を発揮するかはなお予断を許さないのが現状だ。市場では「欧米の財政赤字削減には時間がかかる」との見方が圧倒的で、今後も金融市場が大きく動揺し、世界経済にも悪影響を及ぼす懸念は拭えそうにない。

 リーマン・ショック後の世界同時不況では日米欧ともに積極的な財政出動で景気を下支えしてきたが、欧米の財政不安はそれも限界に達していることを鮮明にしている。国内の潤沢な貯蓄で国債を消化し、信用不安が顕在化していない日本も長期債務残高は先進国で最悪の水準にあり、いつ日本の財政赤字が金融市場で最大のターゲットとなってもおかしくない状況だ。欧米の問題は、決して「対岸の火事ではない」(第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミスト)。

 一方で金融政策による景気刺激策も日米ともに実質ゼロ金利で緩和余地が乏しいのが現状。G7の結束とは裏腹に、世界経済の先行きには「黄信号」がともったままだ。

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