これ以上の空洞化は阻止できないのでしょうか・・・
19日の円相場が「防衛ライン」とされた戦後最高値を突破したことで、日本経済を直撃する超円高が長期化する懸念が高まった。市場では、円相場の水準が一気に切り上がったという見方も出ている。75円台を超える円高水準が定着する事態となれば、産業界が受ける打撃は計り知れない。
「円の水準は新たなステージに入った」。こう語るのは農林中金総合研究所の南武志主任研究員だ。南氏は「75円台が警戒ラインではなくなった」と指摘した上で、73円台まで円高が進むと予想する。
これまで円相場が最高値を更新した節目は2回あった。阪神大震災から3カ月後の平成7年4月19日と、東日本大震災直後の今年3月17日だ。だが、いずれも企業がドル資産を円に替えて手元資金を厚く持とうとする一時的な動きなどを背景とした瞬間風速的な円高で、介入などを通じてすかさず円安に戻った。
これに対し、欧米の景気減速懸念や信用不安など海外の構造的な要因が背景である今回の円高は「事情が違う」(野村証券の木内登英経済調査部長)。米欧経済の回復が見通せない限りは「80円台へ戻ることすら難しい」(同)という。
政府・日銀が週明けにも円売り介入に乗り出す可能性もあり、「直後は2、3円、円安に振れるかもしれないが、効果はすぐ剥落する」(外資系証券)。時をおかず、75円台を超える円高水準の攻防が始まる恐れも消えない。
結果的に超円高が長期化すれば、輸出企業は壊滅的なダメージを受ける。すでに80円を超えた段階で「限界を超えている」(豊田章男・トヨタ自動車社長)とされてきた。事実、多くの企業は最近の円高を受けて想定為替レートを80円に修正してきたが、75円台を超える水準は未知の領域だ。
大和証券キャピタル・マーケッツは、円相場が82円から77円に高騰すると、主要200社の経常利益が8500億円以上なくなると試算。すでに製造業にコスト削減余地は少なく、「海外に生産拠点を持っていかざるをえない」(電機大手幹部)状況で、過酷な円高による産業空洞化がさらに現実味を帯びてきた。
2011年8月20日土曜日
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