なんとか回復してもらいたいけど・・・どうなることやら。
世界に拡大する株安と歴史的な円高のダブルパンチがわれわれの生活に深刻な打撃を与えようとしている。株安による金融資産の目減りは、消費マインドを冷え込ませ、企業の業績を悪化させる。すでに1ドル=77円という急激な円高で日本経済を支える輸出関連企業は海外での利益が目減りして青息吐息。株安が企業の収益を悪化させれば、所得や雇用にも波及し、日本経済全体を腰折れさせかねない危険をはらんでいる。
「ようやく高級品や宝飾品の売れ行きが回復してきたところ。今回の株安が長引かないことを祈るばかり」。大丸松坂屋百貨店の担当者はやりきれない表情だ。
松坂屋名古屋店で6月上旬に開いた宝飾品フェアでは売り上げが前年に比べ32・7%伸びた。東日本大震災後の自粛ムードが沈静化し、大きく落ち込んでいた宝飾品や高級品の売れ行きの回復に株安が冷や水をかけかねないからだ。
今回の株安で担当者が頭に浮かべるのは、リーマンショックのあった2008年だ。
当時、株で資産を膨らませた「新富裕層」と呼ばれる購買層が百貨店の売り上げを牽引していたが、リーマンショック後には一気に姿を消し、売り上げを落ち込ませた。
「株安は株を持っていない層の消費マインドまで冷え込ませる傾向があった」(ニッセイ基礎研究所の斉藤太郎主任研究員)という。
株安は企業財務にも打撃を与える。企業が保有する株式の価値が目減りすれば、評価損として計上せざるをえないからだ。
輸出関連企業であれば円高が追い打ちをかける。代表格である自動車業界からは「新車販売が低迷する懸念もある。対応は1社のレベルを超えている。先行きに対してどこまで円高・株安が進むのか疑心暗鬼になってしまう」(大手自動車)と不安を隠さない。
輸出関連企業の多くは想定為替レートを1ドル=80円台に設定している。9日の外国為替市場の円相場は一時1ドル=76円台に突入。戦後最高値の76円25銭をうかがう展開が続く。
1ドル当たりの円相場が年間で1円、円高になると、トヨタ自動車は300億円、ホンダは150億円の損失要因となる。「現在の為替水準で黒字を確保するのは至難の業」(大手自動車)との悲鳴も上がる。
帝国データバンクによると、今年の円高関連の倒産は今月7日時点で28件に達した。円高を嫌い、海外に生産拠点を移転させる動きも加速しかねない。円高・株安による企業業績の悪化は、企業から人を雇う余力を奪い、従業員の給与水準を押し下げる。この動きがさらに消費を落ち込ませれば、がけを崩れ落ちるように景気が悪化してしまう。それなのに、政府・日銀から、株安・円高に歯止めをかける対策はまだ示されていない。
2011年8月9日火曜日
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