2012年5月19日土曜日

電気を1週間自給 災害に強いスマートハウス

色々な技術を開発して、エネルギーを効率よく使える社会になっていければいいですね。


 東日本大震災での停電や原発稼働停止による電力不足を受け、太陽光発電などの自然エネルギーや電気自動車(EV)などの蓄電システムを組み合わせた省エネ型の次世代住宅「スマートハウス」に注目が集まっている。三菱電機が実証実験を始めたスマートハウスは高容量の蓄電池を搭載したEVが実用化されたことで、災害で電力供給が途絶えてもインフラ復旧の目安とされる約1週間は電気を自給できるなど危機管理性能を向上させた。消費電力を監視・制御するスマートハウスは、IT(情報技術)を活用し効率的に電力需給を調整する「スマートグリッド」(次世代送電網)や電力、水、交通・物流などのインフラを統合した「スマートコミュニティー」への第一歩となる。

 「スマートハウスは外部からの電力供給量を抑える経済的メリットとともに、社会的な節電需要にも貢献できる」。三菱電機の梅村博之常務執行役・リビング・デジタルメディア事業本部長はこう断言する。

 同社はこのほど、神奈川県鎌倉市の情報技術総合研究所内に設置した実験用住宅「大船スマートハウス」を公開した。直流と交流電流を切り替える電力制御装置「パワーコンディショナー(パワコン)」を新開発。太陽光発電とEVを1台のパワコンで制御することで、ばらつきのある自然エネルギーを効率的に活用できるようにした。「災害で停電した場合でもいかに電気的に自立して生活できるか」(梅村常務執行役)が実験の最大の狙いだ。

 同社は昨年5月、震災後のスマートハウスへの関心の高まりなどを背景に実証実験を開始しており、1年間の実験で高効率のヒートポンプなどの省エネ機器によって、太陽光発電量がエネルギー消費量を上回ることを確認している。

 スマートハウスでは、屋内外の電力制御システムや家電機器そのものがセンサーの役割を果たし、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)コントローラーが天候、気温の変化や居住者の生活パターンを学習。暑ければ窓を自動で開けて風通りをよくし、寒ければ日射熱を取り込み、床暖房に回すなど機器を管理する。朝は居住者の起床時間などからエアコンなどの起動開始を逆算、効率的に空調を管理し、節電しながら快適な1日の始まりを迎えることもできる。空調の年間消費電力は25%削減することに成功した。EVを組み込むことでますます実用性が高まっており、同社は「住宅メーカーと連携して早急に実用化したい」(梅村常務執行役)考えだ。

 将来的には、地域内の各家庭をネットワークでつなぎ、夜型の家庭と朝型の家庭を組み合わせ、電力使用のピークをずらすといった効率的な配電も可能になるという。

 ただ、スマートハウスの実現には多大なコストがかかる。HEMSで家電をコントロールするには、無線通信機能を持った新しい家電機器が必要となるからだ。さらに対応機器がまだ出そろっていないことも課題の一つ。エアコンなどでは対応機器が登場しているが、パナソニックや東芝など電機各社は対応家電の製品化を急いでいる。

 昨年、東京電力などは史上初の計画停電を実施した。福島第1原発事故で、原発の安全性が問われる中で迎える地震後2度目の今夏も、電力インフラの“安定神話”は揺らいだまま。省エネ社会を見据えスマートコミュニティーの実用化が急がれる。

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