やるべきことを粛々とやらないと。米国債を売却したり、円を刷ったりさ。
日本の国債暴落の可能性に言及した報道や議論がこのところかまびすしい。日本の借金総額は約1000兆円。このうち政府短期証券や財投債を含む国債は約900兆円超(2011年9月末時点、日本銀行調べ)をまかなっていて、急務とされる財政再建と成長戦略がうまくいかなければ、いつ長期金利が上昇(国債価格は下落)してもおかしくない状況になりつつある。
日本総合研究所の試算によると、今後金利が上昇して2019年度まで年3.0%で推移すると、利払い費だけで24兆3000億円に達する見通し。財政再建などが進まないと、さらに膨らみ、日本の「国家破産」が現実味をおびてきた。
■国債の保有期間が短くなっている
朝日新聞は2012年2月2日朝刊で、「三菱東京UFJ銀行が日本国債の価格急落に備えた危機管理計画を初めて作ったことがわかった」と報じた。
日本国債は9割超が国内で買われ、そのうち4割を銀行が保有。なかでも、三菱東京UFJ銀行は約42兆円を保有しており、国債を売買する債券市場への影響力も大きい。
三菱東京UFJは、「(資金運用の)シミュレーションは常に行っていますし、特別なことをしたわけではありません」という。
とはいえ、日本国債が「安全」とされるのは、同行など国内の金融機関が大量に保有しているからだ。ところが、最近は海外投資家の保有が増えている。
日銀によると、11年9月末の国債残高のうち、海外投資家の保有分は前年比30.7%増の75兆6769億円で過去最高を記録した。欧州の債務危機が背景に、海外投資家は「欧米諸国よりは安心」という理由で、積極的に日本国債を買っている。
それによって、これまで6%程度だった国債残高に占める海外保有比率は、8.2%という高い水準になった。
ただ、海外投資家が買っているのは期間1年以内の政府短期証券が中心。保有期間が短いほうが売りやすく、また他の金融商品に乗り換えやすいためだ。
さらに、日本総合研究所は「国債残高の累増をみると、調達期限の短期化傾向が著しい」と指摘する。日本国債は1980年度に、5割弱を長期国債(期間10年超)が占めたが、2011年度は15%以下に低下する見通しだ。
三菱東京UFJを含めた大手銀行は国債の保有残高を増やしてきたが、一方で長期から短期に借り換えている。平均残存年数が短くなり、日銀の調べでは99年度の5.4年が08年度に3.5年、11年度(11月末)は2.6年になるという。
これは大手銀行が、日本国債が暴落する可能性がそう遠くないタイミングであると考えていることを示す。償還までの期間が短いほど、金利が変動しても元本価格の変動を抑えられるからだ。逆に、2.6年なら保有リスクは減るだろうとみているともいえる。
■「財務省の脅し」という憶測も
国債暴落のきっかけになる出来事はいろいろと考えられる。社会保障と税の一体改革が頓挫して消費税が増税できなかった場合、世界が「日本が財政再建に失敗した」とみれば、いまのポルトガル国債やイタリア国債のように金利が急上昇する可能性がある。
あるいは国債暴落の一つの「指標」とされる経常収支が2016年に赤字に陥るとの予測もあり、それが国債暴落の引き金を弾くのかもしれない。
いずれにしても、日本国債が暴落して一番慌てるのが、国債を多く保有している銀行などの金融機関であることは間違いない。朝日新聞のトップ記事は、事態が切迫していたら、「パニック売り」のきっかけになりかねないので、銀行にとっては自らのクビを閉めることになるし、もし三菱東京UFJが本気で国債の残高を減らしたいのであれば、わざわざ注目されるようなことはしないだろう。
そんなことから、「消費税増税のため(財政が破たんして国債が暴落する)、いつもの財務省の脅しだろ」、「ヘッジファンドの(日本国債)売りをけん制したのでは?」といった憶測も呼んでいる。
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