70円台前半も見えてきた?
週明け25日の外国為替市場は、ロンドン市場で一時1ドル=78円06銭まで上昇し、復興に向けた円の資金需要への期待から、戦後最高値を付けた東日本大震災後の3月17日の76円25銭をうかがう展開になった。円高は長期化の様相を呈し、電力の供給不足との「二重苦」になる国内輸出産業への打撃は深刻だ。野田佳彦財務相は「必要なときは断固たる措置をとる」として為替介入の可能性を示唆し、市場は緊張感を帯びてきた。
■長期化の心配
「海外経済の不確実性の高まりが円高の背景になっている局面では、輸出や企業収益の減少、企業心理の悪化などを通じ、景気に悪影響が及ぶ可能性がある」。日銀の白川方明総裁は25日、東京都内で行われた講演で、円高が景気に与える影響を心配した。
財政危機に陥ったギリシャの追加支援策がまとまったものの、ギリシャの一部国債の債務不履行(デフォルト)懸念は残ったままだ。米連邦債務の上限引き上げ問題も調整が難航し、切迫した状況が続く。
円高の背景には、欧米の国債リスクを回避するため、相対的に安全な円に資金が流入していることがある。だが、輸出産業にとって、現在の円高水準は「限界」との声が上がる。
■製造業「限界」
「金融危機以降、やれることはすべてやってきた。日本は貿易立国で誰かが外貨を稼いで国が成り立っている。今の為替水準では東日本大震災からの復興にも遅れが出る」。トヨタ自動車の豊田章男社長は、こう警戒する。
東日本大震災による部品不足からいち早く立ち直りをみせたものの、円高水準は企業業績の足を引っ張りかねない。
キヤノンは25日発表した平成23年6月中間決算で、円高に対応し、下期(7~12月)の想定為替レートを1ドル=85円から一気に80円に見直した。田中稔三副社長は「国として、どの水準の為替が適切かというメッセージを発信してほしい」と訴えた。
政府が為替介入に踏み切れば、戦後最高値を受けて3月18日に行った欧米各国との協調介入以来になるが、野田財務相の24日の発言は、“口先介入”にとどまっている。実際、週明け25日も円高には歯止めがかからず、市場関係者は「介入を警戒しながらじわじわと円高が進み、戦後最高値を更新する動きが強まる」と指摘する。
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