2012年10月30日火曜日

日銀が基金11兆円増額、14年以降も物価1%まで資産購入

予想より1兆円多かったけど、サプライズってほどではないね・・・

日銀は30日の金融政策決定会合で資産買入基金の11兆円増額による追加緩和を決めた。9月に続く2カ月連続での異例の金融緩和は、日中問題の影響など海外経済のさらなる落ち込みによる景気の底割れを防ぐためだ。

デフレ脱却には成長力強化が不可欠なため、無制限の新たな資金供給の枠組みも作り、緩和的な金融環境が企業に波及するよう後押しする。同時に、事実上の政策協定(アコード)となる文書を政府と共同で発表し、デフレ脱却に向けた取り組みを明確化した。

白川方明総裁は会見で、2014年以降も目標とする物価上昇率1%を目指しゼロ金利政策と資産買入を継続する姿勢を強調。事実上の無期限緩和を打ち出している米連邦準備理事会(FRB)と政策姿勢に変わりがないと述べた。

<景気回復後ずれに3つの政策>

今回打ち出された政策は3つの柱からなる。1)長期国債や指数連動型上場投資信託(ETF)などによる基金11兆円の増額、2)政府・日銀がデフレ脱却に向け金融緩和や経済政策を打ち出すとの確認文書、3)既存の成長基盤支援の融資制度を発展させた形での新型融資制度の導入だ。

基金増額というこれまでの枠組みの下で景気の落ち込みに対応すると同時に、デフレ脱却への第一段階としての金融環境の整備に加え、成長を後押しする第2段階の措置として、新たに貸出増加支援の資金供給の枠組みを設置。資金供給の上限をは設定せず、無制限とした。

政府・日銀の共同文書ではデフレ脱却に向けた共有認識を改めて示し、それぞれの役割を明確化。日銀が強力な金融緩和にコミットする一方で、政府側も規制緩和や産業政策など経済政策の必要性を文書で確認した。白川総裁は「政府にとっても非常に重いもの」との認識を示している。

<共同文書でにじむ「アコード」>

財務省によると、政府と日銀が共同文書を発表したのは、1998年の新日銀法施行以来初めて。デフレ脱却の時期を「早期に」と初めて明記した異例の文書とりまとめに至ったのは、景気の失速が次第に明らかになってきた日本経済の現状が「デフレ脱却に向けた正念場」(政府筋)にあるとの見方が強まってきたためだ。

決定会合終了後に会見した前原誠司経済財政相、城島光力財務相はともに、共同文書が政府とのアコードに当たるかは明言しなかった。だが両相とも「政府・日銀のより一体的な取り組みがこれによって担保される」(経財相)、「共同で声明を出したところが大きい」(財務相)と日銀への期待を隠さず、事実上のアコードと位置付けていることをにじませた。

<1%見通せるまで緩和継続、FRBと政策姿勢共通>

市場や一部政府関係者の間では、FRBが9月に打ち出した量的緩和第3弾(QE3)と同様に事実上無期限の緩和方針を明示し、日米金融政策の緩和度合いの違いから円高が進むのを未然に防いで欲しいとの期待もあった。白川総裁は会見で「14年以降も物価1%以上が見通せるまで、事実上のゼロ金利と資産買い入れを続ける方針は変わらない」と強調。「FRBは労働市場が改善するまで、日銀は物価上昇率1%が見通せるまで、と望ましい経済・物価の姿を示し必要な政策を続ける点で政策運営の仕方は共通している」と説明した。

<展望リポートの文言に佐藤・木内委員が異論>

半年ごとに公表している「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、物価は「マクロ的な需給バランスの改善などを反映して、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度は(目標とする)1%に着実に近づいていく」との文言を盛り込んだ。総裁によると、この文言をめぐり木内登英氏と佐藤健裕氏の両委員が異論を示したという。

初めて公表した14年度の物価上昇率見通しは0.8%(消費増税の影響除く)だった。

<市場期待値には届かない緩和、追加圧力も>

事前の観測報道合戦が過熱、「基金増額規模が15兆円、20兆円になるとの見方や、長期国債の買い入れについて年限長期化の思惑があったため、緩和の内容が市場の期待値に届かなかった」(邦銀)として、日銀の発表直後は為替市場が円高に振れた。

ただ、「足元の景気が下方修正され、弱含みとの判断になったことで、半年程度の後ずれで済まない場合に、さらなる追加緩和の可能性を否定できない」(SMBC日興証券の債券ストラテジスト、岩下真理氏)として、市場で追加緩和期待が今後の急激な円高圧力を緩和するとの見方も出ている。

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