2012年10月10日水曜日

上司が部下に言ってはいけない、10のセリフ

上司だけでなく、どんなときにおいても言ってはいけない言葉な気がする。

若手社員のうちに学びたい、「上司力」入門:
 皆さんは「課長」に対してどのようなイメージを持っているだろうか? 一昔前は「課長」と言えば、憧れの存在だった。部下に対して仕事を指示して、問題が発生した時にだけ、自らが対応する。普段は、悠々と席にいて、書類に目を通したり、堂々と新聞を読んだりしている課長もいたものだ。


 今、「課長」と聞いてそのような姿をイメージする人はほとんどいないだろう。予算達成のプレッシャー、残業をさせない労務管理、厳しくなるコンプライアンス。さらには、部門の方向性を描くことを求められ、当然ながら、部下の育成も期待される。それだけではない。自らがプレイヤーとしても客先に足を運んでいるのが現状だ。悠々と席にいて指示を出すだけの姿はイメージできない。

 産業能率大学の「上場企業の課長を取り巻く状況に関する調査」によると、課長の99%がプレイヤーを兼務している。もはや、マネジメント専任の課長など、ほとんど存在しないのだ。

 「課長」が組織に与える影響は大きい。現場におけるキーパーソンであり、課長次第で、業績も、部下の成長も大きく左右される。では、今の時代において、課長が身につけておくべき能力は何なのか。本連載では、課長が身につけておくべき「上司力」について考えていきたい。

●「上司力」とは何か

 3年前に比べて、職場における課長の変化を聞いたところ、最も多かった回答が「業務量が増加している」との回答で54%にも上っている(産業能率大学調査)。課長には部下に対して手とり足とり育成する時間はほとんどない。その上、部下の管理をするにも内容が多岐にわたり、十分な管理ができないのが現実だ。課長に共通する悩みは「時間がない」ことである。マネジメント研修に出て「部下育成」の重要性を教えられても、「そんなことは分かっている。部下育成の時間を作れないから困っているのだ」というのが本音である。

 一方で、グローバル化が加速する中で、人材育成はどのように変化していくのであろうか? 既に、新卒採用において外国人の採用は当たり前となっている。先日、ある日系企業のマネジャーと話をしていたところ、部下の国籍が8カ国籍にわたるとのことだった。近い将来、多国籍で働くことは当たり前になってくるだろう。

 このような時代において、上司が部下に対して、手とり足とりスキルや知識を教えることや、モチベーションのケアをすることは、現実的ではなくなってくると考えられる。なぜならば、既にスキルや知識を持ち、モチベーションの高い外国人が新卒採用や中途採用で採用されることが当たり前になるからだ。

 今の時代における「上司力」とは、何なのだろうか? 上司力のある上司とは、上司が手とり足とり教えなくとも、部下が成長する上司である。上司力のある上司のもとでは、部下自身が自らを管理し、自ら成長していく。即ち、上司が部下をマネジメントするのではなく、部下自身にセルフマネジメントをさせる力こそが、「上司力」なのである。

●課長の9割は自身の能力に満足していない

 日本生産性本部の調査によると、課長の92%が自身の能力に満足していない。また、部下の育成においては、65%の課長が自信がないと回答している。自分の力に自信を持てず、戸惑う課長像が浮かび上がってくる。

 前述のとおり、もはや、課長はマネジメント専任でいられる時代ではない。自らがプレイヤーとして成果を出しながらも、「上司力」を発揮することで、部下が成長する環境を創っていかなければならない。

 従来の人材育成の枠組みにおいては、管理職になったときに、新任管理職研修を受けることが一般的であり、そこで管理職の役割や部下に対する接し方を学び、課長に求められる「管理」方法を学んでいた。しかしながら、求められる役割が「管理」ではなく「上司力」であるならば、このような研修では「上司力」は身に付かない。

●「自信のない上司」にならないために 若手のうちに上司力を鍛えろ

 課長に求められていることが「部下を管理する」ことから、「部下が育つ環境を創る」ことへと変化している。管理手法を学べば、課長が務まる時代ではない。上司力こそが必要とされる能力なのだ。そして、この上司力は、課長になってすぐに身に着く能力ではない。若手のうちから学び続けることが大切な能力なのである。課長になってから学ぼうとしても手遅れなのだ。

 上司力として求められる具体的な力は、連載を通じて紹介していくが、この上司力を鍛えることが若手社員において重要なことである。

 人によっては「自分は管理職になりたくないから自分には関係がない」と思う人もいるかもしれない。実は、この上司力は、上司にならなくても役に立つ能力である。上司力があれば、あなたの周りに人が集まり、あなたの仕事をサポートする人が増えることになる。これからの時代においては、仕事が高度化するため、自分ひとりの力だけで大きな成果を出すことは難しくなるだろう。そのようなとき、あなたのために、人が動いてくれる力、それが、上司力なのである。

●「上司力のない上司」が発する、10のセリフ

 最後に、上司力のない上司が発する代表的なセリフを紹介する。このような発言をしない上司になるために、自分が何をすべきかを考える機会にしていただきたい。

(1)「オレがやるからいいよ」

 このひと言は、部下の成長機会を奪うひと言である。「お前は仕事ができないんだ」と言い渡しているようなものである。実際、部下の失敗やトラブルのフォローをする場面であるかもしれないが「君はもういい」「後はこっちでやる」と言われてしまったら、努力した部下の立場はなくなってしまうだろう。

(2)「お前はだからダメなんだよ」

 「そのやり方ではダメだ」と技術的な部分をダメだしするのならいいが、「お前」と相手を主語にしてダメだしするのは最悪である。しかも「だから」をつけたら今までやってきたことすべてがダメだと断言しているようなものである。

(3)「言われたことだけをやっていればいいんだ」

 「オレがやるからいい」という言葉と同じぐらい、多くの上司が吐く残念なひと言である。上司から仕事を指示され「こういうやり方のほうが、効率がいいのでは」と提案したときにこのひと言を言われたら、もう二度と提案しようなどとは思わないだろう。

(4)「ウチはそういう会社だから」

 ジワジワとやる気をなえさせるひと言である。これは一見、上司が会社の立場を考えて弁護しているように思えるが、実は上司が会社に対して諦めているのだと分かる。自分があきらめているから「お前もあきらめろ」と強要しているようなものである。

(5)「結果を出してから言え」

 言われた側は自分の意見は全否定されると思い、二度と進言しないだろう。自由に議論できない場を作り出すようなものである。

(6)「もっと会社のことを考えろ」

 このひと言は、上司が自分の都合や立場が悪くなったときに使う場合が多いのではないだろうか。「会社のこと=自分のこと、つまり自分に迷惑をかけるなと言いたいのだな」と解釈し、聞き流すだろう。

(7)「なぜそんなこともできないんだ?」

 疑問形で言われると問い詰められているように感じるので、精神的にかなりきつい。また、何度言っても相手ができないのなら、おそらく伝え方に問題がある。相手を叱(しか)る前に、自分の教え方を変えてみるべきである。

(8)「やる気あるの?」

 まじめに取り組んでいても思うような結果を出せないときもある。やる気はあるのにそこを否定されたら、誰でもショックを受け、どうすればいいのか分からなくなる。

(9)「言い訳するな」

 言い訳をしているのか、事情を説明しているのか、その見極め方は難しい。本人は自分に問題があると自覚しつつ、状況をわかりすく説明しようとしているだけなのかもしれない。そのときにこのひと言を言われたら、動揺するだろう。

(10)「勝手なことをするな」

 普段は自分の頭で考えろ、自律した社員になれと言っておきながら、このひと言を投げかけたら相手は誰でも混乱する。これは上司側に問題が多分にある。上司が部下の行動を認められないと、このひと言で一喝するのである。

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