2012年1月26日木曜日

任天堂、円高や「3DS」販売不振で初の営業赤字へ

デジタルゲームに変わる、新しい娯楽が生まれるんでしょうか?任天堂はどうなるんだろう?


任天堂<7974.OS>は26日、2012年3月期の連結営業損益予想を450億円の赤字に下方修正した。従来予想は10億円の黒字だった。想定以上の円高に加え、欧米での年末商戦で「3DS」の販売が計画に届かなかったことが要因。今期3回目の下方修正で、同社が連結決算の公表を始めた1981年8月期以来、初めての営業赤字となる。

トムソン・ロイター・エスティメーツによると、アナリスト19人が過去90日間に出した今期予測の平均値は77億円の赤字で、市場ではコンセンサスを大幅に下回る会社予想を「ネガティブ」と受け止める向きが多い。

大阪市内で会見した岩田聡社長は、予想修正の理由について、欧米の年末商戦で「ゲーム市場の盛り上がりが想定よりも遅くなった」とし、中でも3DSの販売が「われわれの期待に届かなかった」と指摘した。そのうえで「不需要期の1─3月に取り返すのは難しい」とみて、業績修正に踏み切ったと説明した。前年の営業損益は1710億円の黒字だった。

円高による業績への影響については「ここ5年、円高の進み方はとても厳しい。製造上のドル調達をかなり進め、効果もあるが、カバーしきれないぐらいのペースで来ている」と述べた。ユーロ安については「調達を少しでもユーロ建てでできないかと取り組んでいるが、取引先は限られる。ユーロについて、劇的に為替リスクを消すいい方法がない」と話した。

円高やゲーム機の販売不振を受け、今期の連結売上高予想は従来の7900億円から前年比34.9%減の6600億円に下方修正した。今期のゲーム機販売台数予想は、「3DS」は従来の1600万台から1400万台に、「DS」は従来の600万台から550万台に引き下げ、「Wii」も従来の1200万台から1000万台に下方修正した。

売上高の下方修正に加え、円高に伴う多額の為替差損などで、経常損失の予想は従来の300億円から950億円に、当期損失の予想は従来の200億円から650億円にそれぞれ修正した。12年3月末の為替想定レートについては、ドル/円は従来予想の77円を据え置いたが、ユーロ/円は従来の106円から98円に修正した。業績予想を大幅に下方修正したものの、年間配当予想は前回公表値の100円(前年実績は450円)を据え置いた。

11年4―12月期の連結営業損益は前年同期の1587億円の黒字から、164億円の赤字に転落した。

<来期は3DSの採算性改善目指す>

来期の業績見通しについて岩田社長は「本決算の(発表の)タイミングで話す」と述べ、具体的な数値は示さなかったが、「厳しい円高が続いても、(従来の)任天堂らしい営業利益が出せるようにしていく」と語った。3DSについては「(今期中に)大幅な値下げをした。年末に非常に売れたが、ハードの採算がとれていなかった」と指摘した。しかし、こうした状況は「来期の早いうちに解消できるだろう。ハードを売ることでプラスがでると思う」と述べ、量販効果により採算性が改善するとの見通しを示した。

値下げしたにもかからわず、3DSの販売予想を下方修正せざるを得なかったことについて同社長は「当然、責任を感じている」と述べた。ただ「未来を悲観するような悪い状況ではない。未来に向けてしっかりとやれる土台はできた」と述べた。スマートフォン(多機能携帯電話)の普及に対しても「ゲーム専用機にはちゃんとした市場がある。ソフトとハードがかみ合えば爆発的に売れる。現実に(昨年)12月の日本での3DS(の販売)の勢いは、DSのピーク時とほとんど変わらない規模だった。ゲーム専用機に未来はないというのは間違いと証明できた」と自信を示した。

<「Wii」後継機を今年の年末商戦期に投入>

一方、「Wii」については、後継機を今年の年末商戦期に日本、米国、欧州、オーストラリア市場に投入する方針を明らかにした。岩田社長は「3DSの発売時にはソフトがそろっていなかったのではないか、という批判があった。苦い経験の反省を生かしたい」と述べ、対応ソフトを充実させ、万全の態勢で発売する考えを示した。具体的な発売時期については明言を避けた。

任天堂の予想修正について、いちよし投資顧問の運用部長、秋野充成氏は「コンセンサスよりもはるかに下なのでネガティブ」との見方を示した。同氏は、ゲーム専用機をベースとするゲームカテゴリーは今後、縮小していくとみており、任天堂は新しい成長分野を見つけないと今のスケールを維持できない可能性もあると指摘した。

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