ここで長期金利が上がると、復興に向けて非常に厳しくなってしまいますね。
米格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが31日、日本国債の格付けを引き下げる方向で見直したのは、東日本大震災で経済・財政見通しが悪化する中、財政健全化に向けた政府の実行力を疑問視しているためだ。政府は社会保障改革の財源として消費税増税を打ち出したが、政局混迷で実現の道筋は見えない。東京電力の経営支援を巡る政府の迷走も懸念材料となっており、市場は日本の「政治リスク」への警戒感を強めている。
「市場が政府に対し、財政健全化を促していると解釈すべきだ」。格下げ方向の見直しを受け、与謝野馨経済財政担当相は、税と社会保障の一体改革を通して財政健全化を進める方針を強調した。
しかし、31日会見したムーディーズの国債担当アナリスト、トーマス・バーン氏は「信頼性が高く効果的な財政再建なのか、懸念がある」と不信感を隠さない。
政府は6月下旬に一体改革の成案をまとめる方針だが、参院は野党が多数を占める「ねじれ国会」の上、「与党内にも不協和音がある」(バーン氏)ため、ムーディーズは実効性に疑念を抱いている。また、10兆円規模と見られる震災の復興財源に、将来の増税を担保にした「復興再生債」を充てる案については、民主党内で反発が強く論議に入れない状況が続いていることもマイナス材料だ。
別の米格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も30日、東京電力の長期会社格付けを投資不適格の「シングルBプラス」に引き下げ。福島第1原発事故による1兆円超の特別損失計上に加え、政府が本当に賠償支援に踏み切るのか不透明感が強まっていることもあり、31日の東京株式市場では東京電力株の終値は前日比9円安の317円に下落した。
日本国債の格下げ見通しを受けて、同日の東京外国為替市場では円売りが入り、一時は前日比95銭円安・ドル高の1ドル=81円77銭まで下落。東京債券市場では長期金利が上昇(債券価格は下落)し、指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0・03ポイント高の1・15%と約2週間ぶりの水準を付けた。
ムーディーズはJR東日本やJR東海、大阪ガスなど景気との関連が高いインフラ大手も格下げ方向で見直すと発表。国債格下げに踏み切れば、長期金利の上昇も避けられず、企業の設備投資意欲に冷や水を浴びせかねない。菅政権に対する退陣要求など政局の混乱が続けば、政治の実行力に警告を突きつける「日本売り」が一段と強まりそうだ。
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