2011年5月26日木曜日

アングル:個人マネーが新規投信通じ国内資産に流入、日本株再評価も

経済を回せる人に、がんがん回してもらいましょう!

個人マネーに動きが出てきた。5月に入り復興関連などがテーマの日本株投信や債券投信に1000億円を超える資金が流入したほか、既存の投信にも5000億円近い資金が流入している。

 割安な日本株の見直し買いや海外債券ファンドなど高分配型投信の人気が回復しているため。ただ、今後の資金動向については、ボーナス月である6月も流入傾向が継続するとの見方がある一方で、今後の為替や海外投資家動向次第では流れが変わるとみる向きもある。

 <新規投信に大型設定相次ぐ>

 国内では日本株売りが先行するなか、25─26日の2日間に設定された日本株投信に600億円近い資金が集まった。5月はこのほか、復興をテーマとした債券投信「東日本復興支援債券ファンド1105」が当初設定時に518億円を集め、国内の株と債券に投下された資金は1000億円を超えた。今年の新規ファンドの設定額ランキングでも上位に浮上した。「個人の日本株の現物投資が伸び悩むなか、投信経由ではかなり集まったのではないか」(国内投信)とみられている。

 エネルギー・資源をテーマに25日に設定された「野村日本スマートシティ株投資」(設定額約319億円)は、投資対象が「LEDやリチウムイオン、インバーターや炭素繊維など日本がトップシェアの分野が多く、世界的にもスマートシティ構想の流れがあるなかで息の長いテーマとして支持された」(野村証券)。26日設定の「ダイワ・ニッポン応援ファンドVol.3 ─フェニックスジャパン─」(同約272億円)は復興をテーマにした投信ではないが「年後半からの復興需要やそれに伴う景気回復などを見越し、足元で割安な日本株の厳選銘柄に投資する商品スキームが受けた」(大和証券)という。

 今月の新規ファンドで最も資金を集めた「東日本復興支援債券ファンド1105」について、野村証券は「これまで(自己運用で)投信は持っていなかった法人や地域金融機関からも資金が入った」ほか、復興支援に関わっていると実感できるスキームが、幅広い投資家層の獲得につながったとしている。

 <既存投信にも高水準の資金流入>

 野村総合研究所が算出しているNRI─FPIによると、今月の追加型株式投信(含むETF)への資金フローは23日時点で4701億円の流入超となっている。

 既存投信への資金流入は4月前半は円安などを背景に解約が先行したものの、後半にかけ持ち直し、今月に入りその流れは加速している。なかでも個人に人気の分配型が多い「海外債券」ファンドや、REIT投信などを含む「海外ハイブリッド」ファンドなどにそれぞれ2000億円超の資金が流入している。現状の勢いが継続すれば、5月の純流入額は昨年の夏(10年6月6627億円、7月5482億円、8月4967億円、9月7580億円)以来の高水準になりそうだ。

 今後の資金動向については「6月はボーナス時期なので投信への資金流入にも期待が持てる」(準大手証券マーケットアナリスト)と前向きな見方もあるが、投信販売会社からは慎重な声も聞こえる。

 ある大手証券関係者は「ここ1週間でJリートファンドへの資金流入は膨らんだが、グローバルREITファンドへの流入は細った。ギリシャ問題再燃などで先週からユーロが動いていることもあり、為替リスク回避の動きが出ているのかもしれない」とみる。また、日本の原発問題や政治のリーダーシップ欠如に加え、復興需要の遅れで「日本株を買い越していた海外投資家が見切り売りに走る可能性もあると懸念されている」(国内証券)との指摘もある。

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