2011年5月5日木曜日

社債市場 4月は6割減 原発事故での東電経営不安を機に

投資家心理としては、社債には手を出しにくいですよね。儲けられる投資家って、こういうときに強気に攻められる人なのでしょうかね?

東日本大震災の余波で、社債市場が低迷している。経済の先行き不透明感に加え、市場の「指標銘柄」となってきた東京電力債が福島第1原発事故の影響で売り一色となり投資家心理を冷え込ませたためだ。社債の新規発行を急きょ延期する企業も多く、市場からの資金調達は当面、厳しい状況が続きそうだ。

 事業年度がスタートする4月は、資金調達のための社債発行が集中する月の一つ。しかし、SMBC日興証券によると先月の普通社債発行額は5154億円と前年同月(1兆2120億円)比で6割の大幅減となり、過去10年で最も少なかった。

 最大の要因は国内最大の社債発行企業、東電の経営不安だ。安定した電力収入が見込める東電の社債は安定資産とみなされ、10年物国債利回りに対する上乗せ金利(スプレッド)は0.1%前後と最低水準だった。しかし、原発事故で巨額の賠償負担が避けられない事態になると売りが殺到。米大手格付け会社が東電を格下げしたこともあり、スプレッドは2%台半ばに急上昇(価格は低下)した。

 発行残高が5兆円弱で、国内市場の約8%を占める東電債(円建て国内公募債)の信用が揺らいだことで他の電力会社のスプレッドもつられて上昇。影響は社債市場全体に波及した。投資家の慎重姿勢を嫌気し、全日本空輸が4月1日に予定していた300億円の社債発行の延期を決めるなど、多くの企業が社債の発行を見送った。

 結局、4月に発行できたのは三菱東京UFJ銀行など金融機関が中心で、一般企業は日産自動車などごく一部に限られた。政府による第1原発の損害賠償の枠組み作りが固まりつつあるため、東電社債に買いも入っているが「東電の経営不安が収まらない限り、市場の様子見ムードはとけない」(アナリスト)との見方は根強い。

 社債による市場からの直接資金調達が難しくなれば、事業会社は金融機関からの借り入れで資金をまかなう必要がある。銀行借り入れは社債よりもコストが高く、社債市場の低迷が長引けば企業の業績悪化につながりかねない。

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