企業では、ただ単に電気が使えない時間だけでなく、それに伴う活動停止の損失が甚大ですね。
原子力発電所事故を受けた電力供給不足への対応として3月14日から始まった計画停電は、4月8日に打ち切りが決まった。計画停電の対象になった地域の工場では生産に支障が生じ、製品、部品、材料の供給不足を招いた。
もともと計画停電が始まったのは、原発事故により電力供給に深刻なダメージが出たからだ。原子力発電所からの電力供給力は、現在491万キロワットで事故前の3分の1以下にまで落ちたほどだ。東京電力管内では、家庭の冷房などで電気使用が急増する夏場は850万キロワットの電力不足が生じると試算された。
供給力が落ちたなら、電気を使う需要側を絞り込めばつりあうはず…。こんな発想から実施したのが計画停電だった。
ただ一定時間内の停電を対象地域に強いる方法は、家庭生活が不便になるばかりか、企業の生産活動を鈍らせた。
影響が大きかったのは半導体メーカーだ。瞬間的な停電があっても生産ラインが止まり、設備の洗浄などが必要になる。工程によっては、ラインが止まると再開に1週間はかかり、計画停電が本格生産への道のりを険しくした形だ。
生活関係では医薬品。無菌室で製造する注射剤は、停電すると滅菌作業の中断を余儀なくされる。このため、電力の安定供給のメドがつくまで、生産を見合わせる薬品メーカーが出た。
大手ビール各社は、関東周辺の主力工場が計画停電の地域にあたった。停電時間そのものが3時間程度でも、停電前後には、配管の洗浄や設備点検が数時間も必要になり操業の壁となった。微妙な温度調節に電気の継続供給が欠かせないヨーグルト製造は、一時的にでも停電になると品質に問題が出る恐れがあり、生産を躊躇(ちゅうちょ)するメーカーが相次いだ。
また同じ東京都の23区内でも、計画停電にならない地域もあり、対象地域からは「不公平」との声があがり、評判は散々だ。生産の停滞を緩和するため、計画停電の原則実施は撤回されることになった。
2011年4月10日日曜日
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