2012年9月2日日曜日

ちょっとお出かけ スイスイ乗れる1人乗りEV「コムス」

安全性と、デザインがなんとかなれば…候補になるかなあ。

 トヨタ自動車の子会社であるトヨタ車体は、7月に1人乗り電気自動車(EV)「コムス」を発売した。近距離移動に適したEVとして、トヨタ車体が独自に設計、製造した。国土交通省は、軽自動車よりも小さい「超小型車」の認定制度を今年度内に新設する方針だが、コムスはすでにコンビニエンスストア大手のセブン-イレブン・ジャパンが宅配サービス用に採用。年間3千台の販売を目指すトヨタ車体製品企画センターの松永豪主査に、開発の狙いについて聞いた。

 --なぜ1人乗りEVなのか

 「二酸化炭素の排出量低下に貢献できる地球に優しい移動手段としてはEVが最適だ。そのうえで、取り回しがよく、経済的で、環境性能に優れた地域の手軽な移動の足として、コンパクトで快適な1人乗りの自動車を念頭に置いた。また、世界に先駆けて超小型車を活用した社会の実現に寄与するため、少しでも多くの人に使ってもらえるように、魅力的で求めやすい価格にしたいと考え、開発したのがコムスだ」

 「これらの要素を踏まえて、新型コムスのコンセプトを『ちょっとお出かけ街までスイスイ』とした。そんなに遠くまで、出かけるわけではないけれど、気軽にちょっとおしゃれにお出かけしたい。4輪なのでバイクや自転車のようにこけたりせず、バックもできて荷物スペースもそこそこある。配達や営業といった業務用途にとどまらず、個人としても買い物や趣味の集いへの日常の足として、通勤・通学などにも軽快に使えるモビリティとなるのが理想だ」

 --初代コムスとの違いは

 「新型コムスは、2000年8月~11年5月まで販売された初代モデルに次ぐ2代目となる。ただ、初代コムスの販売はふるわず、累計で2200台程度にとどまった。ほとんどが宅配など業務利用で、個人の購入は限定されていた。この経験を踏まえて、これからの時代の近距離移動に適したEVとして、新型コムスは外形デザインとボディフレームを新たに設計し、新開発の電動システムとサスペンションを採用した」

 --モデルが豊富だ

 「個人向けの『P-COM』と、ビジネス向けの『B-COM』の2つのラインがあり、B-COMには、『デリバリー』『デッキ』『ベーシック』の3つのボディーバリエーションを用意した。サイズは、それぞれ多少異なるものの、P-COMで、全長2395×全幅1095×全高1500ミリ、車重は410キログラムだ。トヨタ車体の得意とする鋼板プレスを下部に用い、上部は剛性に配慮しながらパイプで組み立てている」

 「制御系も、自動車と同等を目指し、CAN通信を採用して各部をコントロールすることで、部品ごとの信頼性も向上させた。駆動用バッテリーは、5・2キロワット時のEV用密閉型鉛電池を使用し、最高出力5キロワットのモーターを搭載した。システム効率を高めたことで、最高速度は初代モデルの1・2倍の時速60キロ、フル充電時の走行距離は50キロを実現した」

 --1人乗りEVとして安全性能は

 「衝突性能については、この分野では基準がないものの独自に試験を実施している。時速32キロでの前面衝突試験では、足元空間が守られ、バッテリーに問題が発生しないことを確認した。一般的な乗用車の前面衝突試験は時速50キロで実施する。ただ、交通事故の3分の2が時速30キロ以下で発生しており、コムスを運転する時間の77%が時速32キロ以下であることを勘案した結果、時速32キロの試験で安全性を確保できると判断した。ミニカーで装備が義務付けられているヘッドランプに加えて、車幅灯とテールランプを常時点灯させることで、被視認性も向上した。シートベルトも、ベルトアンカー強度試験で欧州の法規に適合している」

 --価格設定については

 「コムスで最も安価なものはB-COMのベーシックで、66万8000円だが、クリーンエネルギー補助対象車両のため、補助金7万円適用すると59万8000円となり、60万円以下で買えることになる。さらにフル充電での電気代は、1キロワット時当たり23円として約120円。1キロ走行するのに約2・4円ですむ計算で、ランニングコストも安い。自動車重量税と取得税もかからず、任意保険も自動車保険に入っているならば、ファミリーバイク特約でカバーできる。車検も車庫証明も不要で、経済性は非常に高いと自負している」

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