2012年9月11日火曜日

天才チンパンジー“パンくん”の女性襲撃は予見されていた?

ええ!こわ~。チンパンジーってそうなんだね・・・。警告受けたてのに金欲しさにシカトってひどいね。

 先週、“パンくん”が女性を襲った。
 ステージが終わった直後、10メートル離れたところにいた20歳の女性に向かっていきなり駆け寄り、足首と腰、そして額にかみついた。ドクターヘリで緊急搬送されて全治2週間のケガだったという。

 いったい何のことやらという人もいると思うので、説明しておくと、パンくんとは日本テレビ系で放送されている『天才!志村どうぶつ園』などに出演している天才チンパンジーのことだ。「志村けんの隣で、揃いのオーバーオール着て座ってるアレね」と思い出した方も多いだろう。

 まるで人間の言葉が分かるかのようなリアクションや、犬の散歩やリュックを背負ってお使いをする愛らしい姿で、お茶の間の人気者であるパンくんは普段、熊本の動物園にいる。

 事故があったのはそこで、パンくんはお客さん相手に1日3回程度のショーを行っている。そして、収録があるたびに上京してはスタジオでスポットライトを浴びていたのだ。

 そんな超多忙なスケジュールをかれこれ8年近くこなしてきた“人気タレント”の不祥事に対し、テレビ局側はいつもの対応をとった。

 事故の詳細が分からないため、出演シーンの放送を当面見合わせます――。

 原因不明の“ご乱心”ということにして、ほとぼりが冷めるのを待つというわけだが、案の定というかやはりこの事件にも「裏」がある。

 実はこの動物園のパンくんの扱い方については、かねてより専門家が警告を発していたのだ。

●何度となく警告が

 最初はパンくんが“全国デビュー”を果たした直後、2005年。環境省が日本動物水族館協会を通じて、パンくんの飼育実態の調査を行ったことだった。

 ご存じない方もいるかもしれないが、チンパンジーは「国際希少野生動植物種」で繁殖や研究以外の目的で飼育はしてはいけない。つまり、オーバーオールを着せて「見世物」にしている「志村どうぶつ園」は厳密にはアウトだ。が、どういうわけかこの調査を経て、テレビ局が受けたのは「行政指導」だった。

 強制力のない行政指導なんて屁のツッパリにもならない。パンくんは瞬く間にスターダムにのしあがっていったが、これに良識のある学者が待ったをかける。

 翌2006年、国内の霊長類学者らで作られる研究団体が、「極端な擬人化」などの演出方針の見直しを求めて、「チンパンジーのTVバラエティ等における使用に関する要望書」を提出したのだ。

 しかし、「パンくん」と名指しにしなかった学問の徒らしい優しさを逆手にとって、動物園とテレビ局は他人事のようにしらばっくれた。

 そして、パンくんが6歳になった2008年には、とうとう日本動物水族館協会がパンくんのいる動物園に対して、ショーと番組を止めなければ協会から退会せよと強硬な姿勢をみせたのだ。

 チンパンジーは5歳を過ぎたあたりから凶暴化する。事実、海外ではペットのチンパンジーに原型が分からぬほど顔面を食いちぎられた被害者がちょいちょい報じられているし、マイケルが泣く泣くバブルスを手放したのもこれが理由だと言われている。

 普通の感覚なら「そろそろ潮時か」となるが、そうはならなかった。この動物園は協会から自主退会してしまったのだ。

 日本中からパンくん見たさに客が訪れる。膨れ上がった人気とカネを自らドブにすてることができなくなっていたのだ。「ファンを見捨てるのか」なんて脅し文句で、人気アイドルの引退を、事務所やらテレビ局やらがどうにか先延ばしにしようとする構図とよく似ている。

 かくして、動物園の強気の姿勢にのっかって番組出演も続行され、20歳のうら若き女性に飛びかかるという事態となったわけだ。

●動物番組の本当の役目は?

 テレビ局は「事故の詳細が分からない」というが、チンパンジーが人を襲うのに「詳細」もへったくれもない。

 アフリカに行けば、チンパンジーは「肉食の猛獣」扱いである。森の近くに暮らす人たちは、野生のチンパンジーが牙をむき出して、別の群れのチンパンジーを襲い、頭をかち割ってムシャムシャ食べる光景を目にしている。一部の霊長類の特徴である「子殺し」もバリバリやるし、人間の子どもをさらう被害も報告されている。

 自然の中ではそういう行動をとっているので、そもそもオーバーオールを着させられて、芸を仕込まれる方が、彼らにとっては「アクシデント」みたいなもんだ。

 2010年の環境省内の審議会で、日本動物水族館協会理事は、「志村どうぶつ園」についてこう述べた。

 「我々から見てもあまりにうそでして、チンパンジーは確かに賢いんですけれども、あんなには賢くないものですから、服も着ていませんし、あれはいかがなものかということで、倫理委員会を何回も開きまして、改善勧告等をいたしました」

 「不自然」を強いられた野生動物はどのような行動に走るのか。自然を支配できると奢っていると、いったいどのような酷い目にあうのか。

 そういう大事なことを子どもたちに教えることこそが動物番組の本当の役目のような気がしなくもない。

 「志村どうぶつ園」では、よくタレントと動物の交流なんかを流して、スタジオの出演者たちが感動して泣いている。ならば、パンくんがこの8年間、どのような目にあってきたのかをぜひつまびらかにしたらいい。きっと涙なくしてはみられないはずだ。

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