あれだけの震災、そして原発事故があった国の通貨が強くなる・・・不思議なことだよね。
東日本大震災の発生から11日で1年半。一時的に大きく落ち込んだ日本経済は、震災関連の復興需要を中心に底堅さをみせているが、欧州危機に伴う世界経済の減速懸念から、日経平均株価は震災直後の水準を1300円程度下回ったままだ。円高の長期化や電力不足問題など懸念材料もある一方、再生エネルギー関連需要は盛り上がりをみせている。
東日本大震災は、08年秋のリーマン・ショックから日本経済が立ち直りかけていた時期に起きた。震災で東北各地の工場が被災し、自動車や電気などの部品供給網(サプライチェーン)が寸断、生産活動がストップした。昨年3月11日、1万254円43銭だった日経平均株価は、同15日に8605円15銭へと急落した。
サプライチェーンの回復は急速に進んだが、欧州危機の深刻化に加え、タイ洪水の被害が拡大して、日本経済は一時、足踏み状態に入る。今年3月27日、日経平均株価は1万255円15銭を付け、震災直後の終値を上回ったものの、その後欧州危機が再燃して再び低迷。10日の日経平均株価終値は前営業日比2円28銭安の8869円37銭だった。
こうした中、日本経済の下支え役となっているのが、震災関連の復興需要だ。政府は復興予算の枠を「5年間で19兆円」と決定し、これまでに18兆円超を計上。7日に締め切られた13年度予算の概算要求では、全国防災事業も含め新たに4.5兆円の要求が寄せられた。東北地方の公共工事請負金額は、昨秋以降高い伸びを示しており「来年半ばまでは増加基調が続く」(SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミスト)との見方もある。
ただし円高の長期化など懸念材料も多い。政府・日銀は、昨年3月に加え、8月と10月にも円売り・ドル買いの為替介入を実施。10日の外国為替市場の円相場は1ドル=78円台前半と、震災直後の水準に比べ、4円以上円高・ドル安水準で推移している。円高は輸出企業の収益悪化を通じて、日本経済全体に悪影響を及ぼす。
原発停止による電力不足問題も解決していない。この夏は関西電力の大飯原発で再稼働したが、ほかの原発では再稼働のめどが立っていない。電力供給の不安定化を嫌い、生産拠点を海外に移し、国内産業の空洞化が進む可能性がある。
一方、太陽光発電など需要拡大が見込める再生エネルギー分野には新規投資が相次いでいる。7月には再生エネルギーを電力会社が固定価格で買い取る制度が始まり、ソフトバンクなど異業種からの参入が相次いでいる。
★大震災の経済的影響 国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の調査によると、東日本大震災の経済的損失は2100億ドル(16.8兆円)と見積もられている。これは95年の阪神大震災の1450億ドルや、05年の米国ハリケーン・カトリーナ災害の1760億ドルを上回り、過去最大となっている。
過去20年の自然災害による日本の経済損失は4020億ドルで、ハリケーン被害が相次いだ米国(5600億ドル)に次ぐ2番目の規模。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「地震や津波による直接的な被害や、サプライチェーンの寸断など企業活動の停止による損失以外に、今後の放射能の除染費用などを含めれば損失額はさらに膨らむ可能性がある」と指摘する。
2012年9月10日月曜日
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