2012年8月23日木曜日

「亡骸は廃棄物」でも「家族の一員」… 広がるペット葬儀ビジネス

動物愛護だね!でもやっぱり亡くなるのが悲しいから動物飼うの躊躇するわ~

命との出会い、必ず迎える最後の時。

 いつか訪れるということは理解していても、最も寂しく悲しい時です。

 人間は死を想像し、その未知の現象に恐怖を感じたり思い悩んだりしながら生きています。動物はその瞬間まで純粋に生きることに必死で、死に対して思い煩うことなどないと考えられています。

 沢山の命を扱っていたころ、当然沢山の別れも経験しました。主に犬たちでしたが、飼い主と過ごした時間が長い子らの多くは、最後に飼い主が喜ぶ姿を見せて旅立って行きました。寝たきり期間の長い子が突然起き上がり、よろけながらもおやつをねだったり排泄をしたり。飼い主が喜ぶ姿を満足げに見て、安心したように静かに息を引き取る。彼らはそんな生き物なのです。

◆ペットの亡骸は「一般廃棄物」

 ペット(コンパニオンアニマル)は家族の一員であるとの認識が高まり、その社会的な地位は向上しているように感じられます。しかしながら日本では法的にはあくまでも“物”であり、飼い主の所有物です。そのためその亡骸は一般廃棄物という扱いになります(廃棄物の処理及び清掃に関する法律:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO137.html)。

 なんとも心が痛む現実ではあります。一般廃棄物として自治体に持ち込まれた亡骸は地域ごとにゴミ焼却場で処理され、埋め立て場で土に帰るか建築原材料として利用されます。また埋葬についても一般廃棄物の焼却処分や埋め立て処分の基準を満たす必要があるため、私有地以外の土地に埋めることも廃棄物の不法投棄とみなされるため許されていません。

 自治体によっては専用の火葬炉を持ち、個別に火葬し遺骨を引き取ることもできるようになりましたが、まだ多くはないようです(www.city.yokohama.lg.jp/kenko/kankyoshisetu/saijou/petto.html)。

 少し前までは庭に埋めたり自治体に処理をお願いしたりするのが一般的だった動物の葬儀。

 家族として過ごしてきたペットを最後まで供養してあげたいという要望を満たすためのサービスがビジネスとしても注目されています。

◆火葬も多様化

 日本での一般的な遺体の処理は火葬です。専門の火葬施設を持つ業者へ依頼し、お骨にしてもらうサービスです。多くの業者がありますが、火葬の種類として

 合同火葬:他のペットたちと一緒に火葬してもらい合同の供養塔へ納骨

 一任個別火葬:個別に火葬してもらいお骨は引き取り

 立会個別火葬:飼い主立会いの下個別に火葬し遺骨を引き取り

 移動火葬:火葬施設付きの車で訪問し、自宅もしくは希望場所で個別火葬を行い遺骨を引き取り

 が選べ、料金も亡骸の重量や方法により1万円~6万円ほどとなっていますので、飼い主の都合に応じて選ぶことができます。

◆遺体を山中へ トラブルも多発

 数年前、個別火葬・埋葬を謳いながらも遺体を山中へ不法投棄していた業者が問題となる事件がありメディアを賑わせました。それ以前にも移動式火葬で、火葬途中の遺体を取り出し料金の上乗せを迫る業者や住宅地で不備のある焼却炉を使って火葬を行い、近隣住民とトラブルになる業者など法的規制のないペットの葬儀に関する事件は多くありました。未だにこの規制は曖昧なままです。最近でも、横浜市の公営斎場で火葬されたペットの遺骨が、「人知れず建築材料に“リサイクル”されている」というニュースが話題になりました。

 飼い主の心情も考慮して、動物愛護法の中に規制条文を組み入れる意見も上がっていましたが、生きている動物が対象となる法律に組み入れるのは妥当ではないとの意見と、実施する人員の問題とされ実現しませんでした。ペットの亡骸は廃棄物か否か、取り扱いに関する根拠となる法律を何処に持ってくるのかが決まらないまま、この問題は続いています。

 最近では業者間での取り決めが交わされ、飼い主の心象に配慮したサービスが提供されるようになってきましたが、利用するときはしっかりとした確認が必要です。

◆宇宙葬に遺骨の加工サービスも

 埋葬も、霊園の共同墓地や専用墓地への埋葬のほか、専門の納骨堂を借りて納骨、自宅の庭への埋葬などが一般的でしたが、人間の埋葬と同様に海や山への自然散骨を望む飼い主も増えているようです。変わったところではペットの宇宙葬や、遺骨を身近に置いておくためにセラミックや人工ダイヤモンドに加工するサービスまで登場しています。(http://store.shopping.yahoo.co.jp/eternal-j/14.html http://www.algordanza.co.jp/index.html?gclid=CL_iq-is2bECFYQqpQodzwMAfA)

 また特殊な樹脂を使っての加工やはく製として生前の姿をとどめておくという、火葬も埋葬もしないサービスもあります。人間では考えられないような行為だと思いますが、この裏側には飼い主の心の問題があるようです。

◆「ペットロス症候群」という問題

 ペットロス症候群という言葉があります。明確な医学的定義は難しいようですが、ペットとの生活で培われた深い愛着・愛情が、突然に訪れるペットの「死」によって行き場をなくしてしまうことによって引き起こされる心的・肉体的症状と理解されています。主な症状として、不眠や摂食障害、鬱、妄想、幻覚、幻聴、胃潰瘍などがあげられますが、生活を送ることすらままならない重篤な症状に陥ってしまう飼い主さんも少なくないようです。

 子供のいない家庭や子育てを終えた熟年夫婦、家族から離れて暮らす単身者などが生活の伴侶としてペットとの生活を送り、その依存心が強ければ強いほど失うストレスが心に大きなダメージとして残ってしまうようです。

 失った現実から逃れるために形を変えてでも身近に置いておこうとする――。

 逆を言えばそんな需要も必要とされるほど、ペット(コンパニオンアニマル)という存在を必要とする人間が増えているのでしょう。あの動物特有の無償の愛情は、人間社会では希薄になってしまったものかもしれません。

 仏教の考え方で葬儀、特に火葬後にお骨を拾うというのは、故人に対する執着を断ち切るための行為です。生前の見慣れた姿が火によって骨と変えられ、それを自らが拾い集めることでもう居ないのだと言うことを認識させるのが目的です。

 全ての人に通用するかは不明ですが、現実を見つめ認識する方法の一つとしてペットを送る時にも実践することが有効なのではないでしょうか。

 また埋葬も同じ意味を持ちますので、気持ちが落ち着いたら手元に置くのではなく、自然界の循環に戻してあげるために土に帰してあげるのが良いと考えます。

 愛するペットを失った時、全ての飼い主は多かれ少なかれペットロスを味わうことになります。

 その時は思い切り悲んで良いと思いますが、人間より寿命が短い生きものです。最後の時を憂うよりも、毎日の生活を楽しみ、後悔のない育て方を心がけ、時間を重ねていくことが大切だと考えます。

 そして良い時間を過ごした相手を大きな感謝で送ってあげたいものです。

 「楽しい時間と思い出をありがとう!!」

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