2012年8月1日水曜日

公取委、ビールの原価割れ納入で食品卸3社に警告 独禁法違反の恐れ

ちゃんと対応してくれよー。酒屋がつぶされちゃう!


 公正取引委員会は1日、原価を下回る価格でビール類を大手スーパーのイオンに納入していたとして三菱食品、伊藤忠食品、日本酒類販売の大手卸売り3社に、独占禁止法違反の恐れがあるとして不当廉売をやめるよう警告した。酒類の不当廉売をめぐる卸売業者への警告は初めて。

 公取委は同時にイオンのほかキリンビールなどビール大手4社に対しても、卸売業者から値上げの申し入れがあった場合は協議するよう協力を要請した。

 公取委によると、卸売り3社は2009年1月から、ビールと発泡酒を合わせた約10種類の銘柄について原価を下回る価格でイオンに卸し、その結果、イオンの店舗周辺の中小酒販店が価格競争で不利になり、営業が困難になる恐れが生じたという。

 ビールの店頭価格は従来、ビール各社が販売数量に応じた販売助成金(リベート)を卸売業者経由で小売店に支払うことで、安く抑えられてきた。

 しかし、ビールの安売り競争が過熱したため、06年に国税庁などの指導を受け、リベートは廃止された。卸売り3社はその分の値上げを小売店に求めたが、イオンが「顧客に納得してもらえない」と反発。メーカーとイオンの板挟みとなった3社は、原価割れの状態でビールをイオンに卸す代わりに、別の酒類や食品の取引を調整することで採算を確保していた。

 公取委の今回の警告と協力要請には、中小酒販店を保護する狙いがある。一方で長引くデフレの下、消費者の低価格志向は強まるばかり。イオンの岡田元也社長は「守るべきは消費者」として、公取委の協力要請には応じない構えだ。

 ただ国内ではビールの需要縮小が続いており、ビール各社や卸売り各社にとって、価格を上げられない状態が続くことは負担が大きい。「イオンも他の小売業と同じ対応をしてほしい」というのが関係者の本音だ。

 イオンとビール4社について、公取委は取引価格の一方的な決定を禁じる独禁法の「優越的地位の乱用」に当たるか調査したが、事実は認められなかったという。ただ「現状の価格は正当な競争による結果ではない」と指摘。関係各社が価格形成の透明化に取り組むことが「長い目で見れば消費者の利益につながる」と説明している。

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