2012年8月9日木曜日

<日銀>国債購入、手詰まり感も 追加緩和見送り

こりゃ、今年の末ごろにはドル円70円割れもありうるかもね・・・


 日銀は9日の金融政策決定会合で、政策金利を「年0~0.1%」に据え置くことを決め、追加の金融緩和を見送った。国債などの資産を買い入れる「資産買い入れ基金」を70兆円まで積み増す、現行の金融緩和策の効果を見極めたい考えだ。だが、資産買い入れが予定額に達しない「札割れ」が生じるなど現行の金融緩和策には手詰まり感も出始めた。今後、米欧が追加緩和に動いて円高が進めば、日銀も追加の対応を迫られる可能性もあり、難しい判断を迫られそうだ。

 日銀は会合後の発表文で「輸出は持ち直しの動きが緩やかになっており、生産も足もと弱めになっている」と指摘。欧州債務危機に伴う世界経済停滞の悪影響を受けつつある輸出と生産の現状判断を下方修正した。しかし内需は堅調で、全体としては「緩やかに持ち直しつつある」との判断から追加緩和カードを温存した格好だ。

 日銀は基金の残高(7月末現在約55兆円)を、年末までに65兆円、来年6月末までに70兆円に積み増す金融緩和を実施中。国債などを買い入れて金利低下を促し、景気を下支えすることが狙いだ。

 だが、日銀の国債の買い入れに加え、欧州不安から安全資産とされる日本や米国などの国債を買う動きが強まり、10年物国債の利回りは歴史的な低水準となる0.7~0.8%台で推移している。金利引き下げは限界まで来ており、白川方明総裁も9日の会見で「金利による景気刺激効果は限定的というのがエコノミストの共通理解」と述べた。

 さらに日銀が金融機関から国債を買い入れようとしても、金融緩和で資金が余っている金融機関側が応じず、資産買い入れが予定額に達しない「札割れ」も生じている。先月には短期国債入札の下限金利を撤廃し、より高い価格で買い入れられるよう入札条件の緩和を迫られた。

 今後の焦点は、欧米の金融政策の動向だ。欧州中央銀行(ECB)は先週、国債購入を含めた危機対応策の準備を決定。米連邦準備制度理事会(FRB)も「必要に応じて追加緩和策を講じる」と表明し、市場では来月にも米欧当局が追加緩和策に動くとの見方が広がっている。欧米が緩和に動けば、一層の円高が進みかねない。円高は、輸出企業の採算悪化を通じて景気全体にも悪影響を及ぼすため、効果は薄いと分かっていても、日銀も追加緩和を迫られる局面も想定される。

 市場では、日銀の「次の一手」として、国債買い入れを増やす案が有力視されている。ただ「入札で札割れが発生するなど国債購入は限界に近づいており、株式市場を下支えする上場投資信託(ETF)の大幅買い増しなどが必要」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)との声も出ている。

 【キーワード】金融政策決定会合

 日銀が毎月1~2回、経済情勢の分析を踏まえて政策金利変更などの金融政策を議論、決定するために開く。参加する政策委員は日銀から総裁、副総裁2人と、民間から選ばれる審議委員6人の計9人。政策は多数決で決まる。政府の代表者も必要に応じて出席し、意見を述べたり議案を提出することができる。議事要旨は約1カ月後、詳細な議事録は10年後に公開される。

 政策委員は衆参両院の同意を得て、内閣が任命する。今年4月には、政府の示した審議委員の人事案に自民党などが反対し、約2年ぶりに2人欠員となった。新たに示された証券会社出身の2人の人事案が6月に可決され、8~9日の会合で空席が約4カ月ぶりに解消した。

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