それは面白いね。親の仕事を知る機会にもなるし、尊敬するきっかけにもなる。それに顔見知りが増えたり社会性も身に付いたりしそうだよね。
子供のころ、親の仕事のことなど考えたこともなかったが、夏休みを利用して親の働く姿を子供に見学させる「子供参観日」を実施する企業が増えている。子供に仕事について考えてもらうことに加え、親子のコミュニケーションの機会にしようというねらいだ。ここ数年、実施企業が急速に増えているが、アパレル大手のワールドでは20年以上も続く恒例行事。会社と家庭をつなぐ大切なイベントで、社風づくりの面でも欠かせないという。毎年、子供たちの興味を引こうと、さまざまな企画に工夫を凝らしている。
7月30日の月曜日、神戸市中央区のポートアイランドにある同社本社で、忙しく働く社員の姿を、興味深そうに見つめる小学生の姿があった。参加したのは47家族70人の子供たち。社内見学や工作、社員食堂での昼食、親の職場訪問…など、約4時間のスケジュールをこなした。
同社は平成3年から夏休み期間中に子供参観日を実施している。年に2回開いた年もあり、この日の開催が31回目となった。
そもそものきっかけは、ある社員の提案だった。当時、社内報に社長に提案するコーナーがあり、その中に「学校でも参観日がある。親が働いている姿を子供に見せる機会をつくってはどうか」というものだった。経営陣はその“意義”に賛同し、実行に移すことになったという。
回を重ねるごとに、単なる見学から、子供たちに仕事の一端を体験してもらおうと、次第に工夫を凝らすようになった。毎年社内でアイデアを出していたが、昨年からは大学など、社外の協力も得てイベントを企画している。
この日のメーンイベントは、洋服の端切れやボタンを使ったオリジナルのエコバック作り。
さすがアパレルメーカーだけに材料は豊富。子供たちは50種類以上の端切れや数百種類ものボタンの中から、材料を思い思いに選び、講師役を務めた神戸大学の学生の手ほどきを受けながら、熱心に花やキャラクターのデザインバッグ作りに挑戦した。
また、洋服の型紙をつくるCAD(コンピューター支援による設計)システムに触れたり、事前に作ってもらった自分の名刺を社員らと交換したり…と、会社の雰囲気を体験した。
お昼には社員食堂で親子で一緒に昼食をとり、午後からはいよいよ親が働く職場を訪問。デスクで親子での記念写真会も催された。スケジュールは午後1時半に終了。これに合わせて半日の有給休暇を取得し、子供と一緒に退社した社員もいたという。
後日、参加した子供たちからアンケートを回収。そこには「忙しそうだった」「大変そうだった」といった感想に混じって、「お父さんの働く姿がカッコよかった」と書いた子供も。思わずホロリと涙が出そうになった社員もいたとか。
忙しい世の中、ともすれば“家庭を犠牲”にしてしまいかねないのがサラリーマンの世界。それを考え直そうと昨今、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が関心を集めているが、この子供参観日は、そのためにも大きな効果を発揮している。
8月9日には東京オフィスで同様の参観日を実施、36家族・47人の子供が参加した。神戸本社と合わせると83家族・117人になり、参加者数は過去最多だった。ちなみに22年間の延べ参加者数は813家族・1102人という。
参観日を担当した広報部の中村香代子さんによると、毎年のように参加する子供もいるそうで、「毎年、ワールドという会社のことを知ってもらえたらという願いを込めて子供たちを迎えています。夏休みの宿題や家族のコミュニケーションにも役立ててもらえれば」と話している。
22年間も続けていると、最初のころに見学に訪れた子供はいま30歳代の前半。この参観日がきっかけになったかどうかは分からないが、「中にはファッション関係の仕事に就いている人もいるようです」(広報部)という。
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