2011年12月4日日曜日

第3のビールも「韓流」 市場侵食…増税論議に影響

韓国で韓国製のビールを飲むことに関しては抵抗はないのだけど、日本だとやっぱり国内のビールを求めたくなっちゃうよね。第3のビールでも。でも売れているらしいってことはそれだけ不景気ってこと?




 低価格の「第3のビール」市場で、韓国製品がシェアを伸ばしている。業界推計では10%近くを占め、年内には焼酎「JINRO」で知られる韓国最大の酒類メーカー、ハイトジンロも本格参入する。製法や原料によって税率が低くなる日本独特の酒税に合わせて開発。製造コストの安さに加えて円高の影響もあり、国産より安く、国内メーカーはシェアを侵食されている。業界では、政府・民主党内で根強い第3のビール増税論議に影響が及ぶとの見方も出ている。

 ■真打ちジンロ参戦

 ハイトジンロが日本で売り出すのは、「THE HITE・ジンロ・ドラフト」。価格は350ミリリットル缶で98~118円を想定しており、120円前後で売られている国産よりも最大で20円以上安い。子会社の眞露ジャパンを通じ全国の酒販店チェーンなどで販売。日本の焼酎市場が頭打ちとなるなか、満を持して参戦する。

 「日本製の第3のビールも参考にして、若者がごくごく飲める味を目指した」(担当者)という。

 第3のビールは平成16年以降、国内メーカーが相次いで発売。翌年以降、国内商社や流通大手が韓国メーカーと共同開発した商品も輸入されるようになった。

 川商フーズは17年にハイトジンロの前身の旧ハイトと組み、「プライムドラフト」の輸入販売を開始。現在も「販売実績は好調」(同社)という。全国の中堅・中小スーパーが加盟する共同仕入れ機構のCGCグループは、20年から韓国製の「ジェント」シリーズを展開。直近1年間の販売量は前年同期比35%増と大幅に伸びている。

 大手スーパーのイオンも昨年6月から韓国製の自主企画商品(PB)「バーリアル」の販売を始めた。価格は100円前後の他の韓国製よりもさらに安い88円。今年11月までに想定を超える速いペースで2億缶を突破した。

 イオンは「購入する最初の動機は安さだと思うが、おいしくなければリピートしてもらえない。味も評価された」(商品担当者)と、胸を張る。

 ■シェア10%の大半

 業界推計によると、第3のビール市場での輸入品のシェアは約10%で、そのほとんどが韓国製とみられている。

 第3のビールは、もともと原料や製造法によって細かく分類された日本独特の酒税法から生まれた商品だ。酒税法上は、本来の主原料の麦芽を使わない「その他の醸造酒(発泡性)」と、麦芽を使った発泡酒に別のアルコールを混ぜた「リキュール(発泡性)」の2種類がある。

 酒税はいずれも350ミリリットル缶当たり28円で、ビールの77円、発泡酒の47円に比べ低く、その分価格も安くできる。

 登場以来、低価格志向の消費者の支持を受け、急拡大。今年1~10月のビール類全体の出荷量(大手5社ベース)のうち35・4%を占めるまでになった。

 ビール類市場は今年で7年連続の前年割れとなることが確実で、縮小に歯止めがかからない。第3のビールは、国内メーカーにとっては貴重な成長市場で、韓国製品は「脅威の存在」(大手幹部)だ。

 ■民主党の勘違い?

 韓国製品のシェア拡大は思わぬ波紋も広げた。政府・民主党は、現行の複雑な酒税を、国際的に一般的なアルコール度数に応じた簡素な税制に見直す方針を掲げている。第3のビールにとっては、度数が同程度のビール並みの税率に引き上げられる大増税となる可能性がある。

 「税制のゆがみを突いて韓国製の第3のビールが大量に輸入され、日本メーカーのシェアを奪っており、増税で守るべきだ」。昨年末の23年度税制改正論議で、民主党の一部議員からこんな声が上がった。

 業界団体関係者は、「勘違いも甚だしい。韓国製に多い『リキュール』を増税するという話だが、国産もリキュールが増えている。打撃を受けるのは国内勢だ」と困惑する。

 第3のビールは東日本大震災の復興財源を賄う臨時増税の対象にも一時浮上した。12月上旬にまとまる24年度税制改正では見送られることになったが、25年度以降の抜本改革で再び検討される。韓国製のシェアがさらに高まれば、増税論が勢いを増しかねない。

 財務省出身の中央大学大学院の森信茂樹教授は、「税のゆがみを修正する時期に来ているのは確かだが、税率を直ちにビールと一本化すれば、これまでの企業努力を無駄にし、消費者の混乱を招く」と話している。

0 件のコメント:

コメントを投稿