とりあえず、安全資産運用としては多少うまみが出てきたかな?
販売低迷に悩む個人向け国債をてこ入れしようと、財務省は変動10年債の利率の算定方式を変更し、7月発行分の金利を引き上げる。これに合わせてイメージキャラクターの「コクサイ先生」が、短文投稿サイトのツイッターでつぶやきPRを開始するなど投資家への売り込みに懸命だ。低金利でうまみの少ない個人向け国債のイメージを今年こそ払拭できるのか。
「個人向け国債は元本や利子の支払いを国が責任を持って行う金融商品です」。ツイッターで毎日律義に宣伝するコクサイ先生は「メタボ気味で顔が大きいことをちょっと気にする40歳代男性」の設定だ。担当者は「ホームページやパンフレットに目を通してもらえるきっかけになれば」と期待する。
“彼”がアピールするのは10年債の新しい利率。従来の算定方法は、直近の長期金利(7月発行分は1.17%)から0.8を引いた水準だったが、7月からは長期金利に0.66を掛ける方式に改める。長期金利が大幅に上昇すれば、従来のままの方が利回りは良くなるが、2.34~2.36%を分岐点に、これよりも低い現状のような低金利環境では新方式の方が利率が上がる仕組み。7月発行分の利率は旧式で算出した場合の0.37%と比べて、2倍以上の0.77%に上がる。
国債は安定した運用先として機関投資家の資金を集めているが、利回りの低さから個人投資家の人気は低い。財務省は昨年度、「結婚するなら絶対堅実な人!」と広告を打ち若年層に国債の魅力を訴えたが、年間2兆円の目標に対し、販売実績は半分の1兆円程度にとどまった。
今年度も2兆円の販売目標を掲げた財務省が目を付けたのが10年債だ。
固定3年債、固定5年債、変動10年債と3種類ある個人向け国債のうち、3、5年物の買い手は退職金の安定的な運用先を求める60歳以上が中心だが、10年は利回りに敏感な40歳代が多い。発行額が年々増加する国債を安定的に消化するには買い手の年齢層拡大は欠かせず、10年物のうまみを増やして販売額を伸ばす戦術に出た。
財務省の担当者は「手数料が少ないから金融機関が気合を入れて売ってくれない…」と苦笑いするものの、“同世代”のコクサイ先生が宣伝することで、中年投資家の心に火を付けたいところ。携帯サイトでも募集期間や利率を紹介するなどデジタル世代を意識したサービスも始めており、昨年度のリベンジを狙っている。
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