2011年6月10日金曜日

<トヨタ>円高、回復の足かせに 下期の黒字目減りも

この円高ドル安は、どこまでいくのでしょうか?

 トヨタ自動車が10日発表した12年3月期の連結業績予想は、東日本大震災による減産の影響で上期(4~9月)は営業赤字となるものの、下期の生産回復によって黒字を確保するシナリオを描いた。ただ、足元の円相場は1ドル=80円と、トヨタが今期想定する82円から2円の円高となっており、業績回復の足かせになる懸念も残っている。

 トヨタが発表した12年3月期の連結販売台数計画(日野自動車、ダイハツ工業含む)は724万台と、震災前の計画の770万台には及ばないものの、前期実績の730万台とほぼ同水準を確保できる見通しだ。震災による減産の影響で、上期は前年同期比で約80万台落ち込む。しかし、下期は同約73万台増を目指し、上期の販売減をほぼ取り戻す構えだ。東京都内で会見した小沢哲副社長は「海外での生産や販売は今後さらに計画を上乗せし、シェア挽回をねらいたい」と述べ、下期以降の回復に期待を込めた。

 震災で寸断されたサプライチェーン(部品供給網)の回復が進み、7月にはほぼ震災前の生産水準に回復するめどが立った。小沢副社長は「一部車種では7月以降に挽回が始まる」とも述べ、増産に向けた体制を早期に整える方針を示した。上期のロスを挽回するため、工場で生産ラインのスピードを速めると同時に、期間従業員を増やすことで1日あたりの生産台数を増やすなどの対策を検討しているという。

 懸念材料は円高の行方だ。12年3月期の想定為替レートは1ドル=82円。前期の86円より4円の円高水準で、これだけで営業利益が前期比1000億円減少する見込みだ。しかし、現時点の円相場は既に想定から2円程度の円高に振れており、生産回復前倒しの効果を吹き飛ばしかねない。小沢副社長は「たかが2円(の円高)だが、これは2.5%の値上げが必要になる計算。韓国やドイツのメーカーとの競争に勝てない」と苦境を訴えた。

 部品メーカーも円高には危機感を示しており、トヨタ系部品メーカー幹部は「円高が震災よりも大きなマイナス要因となる恐れがあり、楽観できない」と警戒する。部品大手のアイシン精機も「他のメーカーの見通しも出ないと何とも言えない」(幹部)と先行きに慎重な見方を示している。

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