2012年6月28日木曜日

日銀の国債買い増しに手詰まり感、金利低下で銀行が副作用懸念

日銀は打つ手は打った、って感じなのかね。あとは政府がどう出るか・・・




日銀の国債買い入れによる金融緩和に手詰まり感が強まってきた。金利低下が進み、金融機関からは収益低下を懸念する声も出始めている。緩和の副作用に、今以上に目配りする必要が出てくる可能性もある。

日銀は今年2月、4月と相次いで国債の買い入れ増を軸とした追加緩和に踏み切った。この結果、日銀の国債の買い入れ規模は年間ベースで43兆円と2012年度の新規国債発行額44.2兆円に匹敵する水準に膨らんだ。

国債買い入れを進めるため、4月には日銀が買い入れ対象とする国債の年限を従来の2年以下から3年以下に延長。この結果、幅広い年限の国債の利回りが低下、世界的なリスク回避の流れとあいまって、現在は3年前後の金利が0.1%程度と日銀の当座預金の超過準備部分に付与される利息(付利)と同じ低水準に張り付いている。

このため金融機関の間では「今より長い年限の金利が下がると収益機会が奪われる」(地銀およびメガバンク幹部)と、日銀が今後の追加緩和で国債の買い入れ対象を5年物などに拡大し、さらなる金利低下が進むことに抵抗感を示す声が増え始めた。

セントラル短資執行役員の金武審祐氏も「さらなる国債買い入れ増には年限の5年程度までの延長が必要だが、副作用が大きい」と指摘している。

日銀内では「金融機関の要望と政策決定は別」(関係者)との声も聞かれる。しかし、白川方明総裁は「最適なスピードを超えてアグレッシブな国債買い入れを行っていくと、長期金利が反転上昇することも起こり得る」(6月4日の講演)と今以上の国債買い入れの副作用を指摘。資産買入基金の残高が現在の53兆円程度から目標の70兆円に到達するまで、「毎月金融緩和を強化している」(同)と度々発信し、追加緩和を強くけん制している。

これに対し、政府・与野党関係者の間では、消費増税による景気下押し圧力を緩和するため、国債の年限延長を含む追加緩和に前向きな見方もある。欧州・中国情勢などで国内景気の下振れ圧力が高まった場合は、議論になりそうだ。

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