これ、やばいんじゃないの?どうにかしないと、一気に疲弊が進むぞ。
中小企業の資金繰りを支える中小企業金融円滑化法が13年3月末で期限切れになるのを控え、不良債権の急増を懸念する声が高まっている。銀行は、経営が苦しい企業の借金返済を猶予し、貸金を「正常債権」に区分していたが、期限切れで一気に不良債権化して損失が表面化する恐れがあるためだ。地方金融機関を中心に経営が圧迫されかねず、政府が支援組織を強化するなどして対応を急いでいる。
同法はリーマン・ショック後の景気低迷が長期化する中、09年12月に施行。通常、借金返済を滞納した場合、銀行は貸金を不良債権とみなし、一定程度の損失を引き当てる必要があるが、同法では「正常先」のまま据え置くことを認めた。このため経営が悪化しても融資の停止などで企業が倒産するケースを一定程度抑える効果があったとされる。
しかし、法律が切れると滞納している借金は「不良債権」とみなされ、銀行側は相当の損失を処理する必要が生じる。ある民間調査会社の調べによると、地銀の多くでは、円滑化法の適用で「正常債権」に区分されている「隠れ不良債権」は、通常の正常債権の1割強に上ったという。「少なくとも8兆円程度は一気に不良債権化する可能性をみた方がよい」(大手民間調査会社)との見方もある。
ある地銀関係者は「大手銀は厳しく見積もり、すでに引当金を多く積んでいるが、経営規模の小さい地銀には最後までその余裕がない。一気に損失計上を迫られる可能性がある」と心配を募らせている。帝国データバンクによると同法を利用した企業の11年度の倒産件数は前年度比約5倍の247件に急増。同法を活用しても、必ずしも経営改善は進んでいないことも懸念材料だ。
金融庁は資金繰りに苦しむ中小企業への資金支援を促すため、事業再生基金(ファンド)の設置を促すなどの対策を急いでいる。横浜銀行や神奈川産業振興センターなどは昨年12月、同県初の官民ファンド「かながわ中小企業再生ファンド」を設立。徳島銀行と香川銀行を傘下に持つトモニホールディングスも3月に再生ファンド「トモニ企業再生ファンド」を設立。資金援助で再建を導く動きが出ている。
日本リサーチ総合研究所の藤原裕之主任研究員は「円滑化法は企業の資金繰りに寄与したが、事業再編など構造的な課題の解決に効果はなかった」と指摘。「事業再生を促す専門のファンドが事業の構造改革を進められるかがカギ」と訴えている。
2012年6月21日木曜日
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