2011年9月6日火曜日

スイス中銀がフラン高対策で対ユーロ相場に上限設定、日本の反応に注目

なんてすばらしい・・・日本にも見習って欲しいですね。


スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は6日、新たなスイスフラン高対策を発表した。スイスフランの対ユーロ相場に1ユーロ=1.20フランという上限目標を設定。目標を達成するために、外貨を無制限に購入し、あらゆる手段を講じると強い姿勢を示した。

スイス中銀は声明で「現在のスイスフランの過大評価は、スイス経済に深刻な脅威とデフレリスクをもたらしている。中銀は最大限の決意をもってこの目標水準を執行し、無制限に外貨を購入する用意がある」と表明した。

9月15日に四半期金融政策見直しを控えるスイス中銀は、フランが1ユーロ=1.20フランでもなお高く、時間をかけて下落すべきとの見解を示し「経済の見通しやデフレリスクにより必要となれば、さらなる措置を講じることになる」と表明した。

第2・四半期のスイスの国内総生産(GDP)は前年比プラス2.3%と、健全な成長を達成した。しかし中銀はフラン高が輸出に打撃を与え、今後数カ月に成長が急減速するとの予測を示している。

発表を受けてスイスフランは対ユーロ、対ドルで下落した。

欧州中央銀行(ECB)は声明を発表し「理事会はすでにスイス中銀から、対ユーロで1.20フランを超えるフラン高を容認しないとの決定を知らされている」としたうえで「理事会は、スイス中銀が自らの責任で下したこの決定に留意している」と表明した。

市場では、スイス中銀の目標水準設定を受け、同様に円高進行に悩む日本も追随するのではないか、との憶測が台頭している。

ニッセイ基礎研究所のチーフエコノミスト、櫨浩一氏は、今週末に仏マルセイユで開催される日米欧7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で日本は円高を議題に提起し、単独介入について理解を求めるようとする、との見方を示した。

コメルツ銀行のエコノミスト、ウルリケ・ランドルフ氏は「スイス中銀は資金を豊富に保有しているため、スイスフラン相場を目標水準に安定させることはできるとみている」と述べた。

ただ「ユーロ圏債務危機収束の兆しが見えないなか、市場における先行き不透明感は依然として非常に高い」と指摘。こうした状況の下では、スイスフランが中銀の目標を超えて下落する可能性は低いとの見方を示した。

またラボバンクのシニア外為ストラテジスト、ジェーン・フォーレイ氏は「スイス中銀が今後数カ月間、スイスフラン相場の上昇を阻むことができるかは、ユーロ圏債務危機の展開次第となる」との見方を示した。

スイス中銀は、石油危機を受けスイスフランが急騰していた1978年に、1ドイツマルク=0.80フランとの目標を設定。スイスフランの上昇を食い止めることに成功はしたものの、インフレ高進という副作用を招いた。

これについてバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)の外為調査部門を率いるシモン・デリック氏は「短期的には効果があったものの、物価の急激な上昇を招き、結果的に非常に高いコストが伴った」と指摘。

今回の措置に関しても「短期的には効果があるとみられる」としながらも、長期的には、債務危機に見舞われているユーロ圏からの資金引き揚げを模索する投資家に対し、簡単な逃げ道を提供することになると述べた。

対外的には、ハンガリーの住宅ローンの約3分の2、ポーランドの住宅ローンの約半分がスイスフラン建てとなっていることから、今回の措置は東欧諸国の経済を支援するとの見方も出ている。

スイスの外貨保有高は中銀による外貨スワップ取引などの結果、急増。8月時点で2534億フランに達している。

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