この快進撃がいつまで続くか?ジョブスが亡くなってから、次の製品がどうなるか、のワクワク感が薄くなってしまうのが怖いね。
快進撃を続けてきた米アップル<AAPL.O>にとって、最大の成功要因が最大のリスク要因になりつつある。「iPhone(アイフォーン)」はスマートフォン業界に革命をもたらし、アップルの事業規模を欧州と中国で拡大させ、年間の売上高の約半分を稼ぎ出す存在となった。
ただ、世界的なリセッションの中でも業績が市場の予想を上回ってきた同社の無敵ぶりにも影が差し始めた。
24日発表された第3・四半期(4─6月)決算は、過去1年で2度目となる予想以下の内容だった。クック最高経営責任者(CEO)は景気と新製品投入のサイクル、そして気まぐれな消費者を気にし始めたかもしれない。
オークブルック・インベストメンツのヘッドトレーダー、Giri Cherukuri氏は「アップルはやや脆弱性が増し、固いよろいに割れ目ができている」と指摘した。
その原因と考えられるのは、圧倒的な成功と規模だ。
スターン・アジーのアナリスト、Shaw Wu氏は「規模が小さい頃は、それを起爆剤としてきた。今や世界的となった同社にとって、それは難しい」と述べた。
センチメントの変化は、決算発表後のクックCEOの電話会議にも表れている。クック氏は、イタリア、フランス、ギリシャ、中国などを中心とする世界の景気低迷がいかにアイフォーンの売り上げに影響したかに言及した。これは、リーマン・ブラザーズ破綻後の2009年と実に対照的だ。
同氏は、iPad(アイパッド)発売前でパソコンの売上高がアイフォーンを上回っていた約3年前の電話会議では、「われわれは自分たちのビジネスの予測に専念し、景気の見通しやコメントはエコノミストに任せる」と述べていた。
これに対し、24日のクック氏の発言は事業環境の評価についてやや包括的になっている。西欧の状況について「事業ペースが減速しているのは確かだ。幸いなことに米国と中国では、今後はともかく現時点で明らかに景気の問題と考えるような状況にはなっていない」と述べた。
<高まるアイフォーンへの依存>
アップルのブランドに特別な輝きを与えるスマートフォンは、消費サイクルに左右される製品だ。新製品が出れば人々が前日から行列を作って買い求め、供給が追いつかない状態となる。
消費者は新モデルへの乗り換え時期を探り、人気が高いだけに毎年さまざまな観測が飛び交うのが常だ。
最近は新モデルの予想も具体的になり、消費者は製品のライフサイクルと投入時期に合わせた行動を取るようになっている。
アイフォーンの売上高は4─6月期だけで160億ドル超に達し、全体の売上高の約半分を占めるようになっている。
モーニングスターのアナリスト、マイケル・ホルト氏は「1つの製品への依存度が高まると、その製品のライフサイクルが業績に大きな影響を及ぼすようになる」と指摘した。
4─6月期のアイフォーンの売り上げ減少とともに、粗利益率は460ベーシスポイント(bp)低下し42.8%となった。
投資家の間では、アイフォーンの新モデル発売をにらんだ買い控えを指摘する声が多いが、これが毎年のトレンドとなることが懸念されている。
ホルト氏は「アップルの四半期決算は、製品サイクルの重要性が増すとともに変動しやすくなるとみている」と述べた。
保守的で知られるアップルの利益見通しを、より現実的とみる動きもでてきた。JPモルガンは同社の目標株価を695ドルから675ドルに引き下げた。このほかにも、レイモンド・ジェームズは800ドルから730ドルに、カナコード・ジェニュイティは797ドルに、ゴールドマンも850ドルから790ドルに引き下げている。
サムスン電子<005930.KS>の「ギャラクシーS3」を筆頭に、他社との競争も激しさを増している。
ただ、アイフォーンの新モデルが発売され、年末商戦を迎える10─12月期に業績が回復すれば、アイフォーンの売り上げのブレは問題ないとの声は根強い。
業績への強気見通しは株価に表れており、25日時点のアップル株の年初来上昇率は42%。ナスダックのマイナス4.3%と対照的となっている。
モルガン・スタンレーのケイティ・フバティ氏は「逆風は10─12月期に収まる見込みで、今はアイフォーン5発売前の最後の買い機会と言えるかもしれない」と述べた。
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