今日のマーケットの動き、どう考える?一気に動きすぎだよね。打つ手は?
追加緩和に対する市場や政治の圧力をたびたびけん制してきた白川方明日銀総裁は、12日の会見でも新たな緩和策を取ることに消極的な姿勢を垣間見せた。
しかし政府は、消費増税に伴う景気下振れを防ぐためにも追加緩和を実施し、デフレ脱却の時期を前倒してほしいと秋波を送っている。次回8月以降の会合では、日銀と政府間で神経戦が展開される可能性がある。
<2月にアクセル、4月末以降ブレーキ>
白川総裁は、追加緩和を見送った12日の会見で、日銀が金融緩和を強力に推進しているとあらためて強調した。資産買入基金の残高を現在の53兆円から来年6月までに70兆円へ積み上げる従来の方針に言及し、「今月も金融緩和を強化している」と語気を強めた。
日銀が追加緩和をけん制する姿勢は、このところたびたび見られる。2月に事実上のインフレ目標である「中長期的な物価安定の目途」を導入し、4月末にも追加緩和を実施したが、期間3年前後の金利が日銀の当座預金の超過準備部分に付与される利息(付利)と同じ低水準に張り付くなど、金融機関の投機的な国債購入を刺激してしまったことが要因だ。日銀は4月末以降追加緩和を見送り、急激な緩和にブレーキをかけた。
12日の総裁会見では、現行の政策を維持・継続することで2014年度にも物価上昇率1%が展望できるとの見方が繰り返された。白川総裁は「金融政策は最適なスピードを意識しながら適切な運営を行う」とし、1%が展望できる時期を前倒すため金融緩和を加速する必要性は少ないとの考えを示唆した。
<早期デフレ脱却望む安住財務相>
一方、安住淳財務相はこの日、白川総裁とは真逆の反応を示した。午前の衆議院予算委員会で、日銀の金融政策について「結果的にはゴールに向かって早い段階で実現していくということがデフレ脱却につながると思う」と語り、物価上昇率1%を早期に実現することがデフレ脱却につながるとの認識を示した。消費増税による景気下振れを防ぐためにも、金融緩和を急いで欲しいとの狙いが透けて見えた。
さらに市場には、欧州債務問題に対する懸念がくすぶり続けている。中国経済の減速が長期化したり、米国経済が期待どおりに回復しない可能性など、世界経済の不安要因は少なくない。白川総裁の姿勢からは、急速な円高や株安で景気下振れリスクが高まらない限り日銀が新たな行動を起こすようにはみえないが、政治からの声と相まって、年内に複数回の追加緩和を迫られる可能性もありそうだ。
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